妙縁のSaGa


エレンのスタイルはバンダナにタンクトップのスパッツ姿ですっかり海賊の姉御
ルックスである。
フォーファーのような学術都市では、はっきり言って彼女他数名の海賊子分達は
浮きまくりである。
しかし、彼女たち一行は全くそのような周囲の視線は意に介してないようだ。
エレン「へー・・・結構綺麗で整然としている町並みね。」
ピドナの中心街のような賑やかさはないが、知的な雰囲気が要所要所に漂う、
好意のもてる街だ。
ただ・・・
エレン「なんかさ、道行く人たちはムカツク顔をしてるわね。」
エリートの集まりだからだろうか、この町の人々はどうも他者を見下している
表情が濃厚に出ている。
エレン「気に入らないわね・・・」
とりあえず、でも若い女性のための店くらいはあるだろう、と街を散策しながら、
エレンはふとある人物のことが思い当たった。
エレン「そういえば、エレノアさんみたいな学者肌の人は、この街をどう感じる
    んだろ・・・?今、あの人は何してるのかなぁ?」

そのエレノアは、シェリルとマリアと物資調達にかり出していた。
物資調達とは言え、実質はタダの買い物である。
マリアが学者スタイルではこの後後々目立つだろうと言うことで、買い物に出かけ
て来たのだが、実質はシェリルとエレノアの二人が色々買いあさっている状況だ。
エレノア「・・・このネックレス、ちょっと高くない?」
シェリル「このピアス、留め具が緩い気がする・・・」
マリアはそんな二人についていきながら、何のかんので予定資金よりもオーバーし
た額で買い物をしてしまっていた。
アクセサリー、服など一通りのものはすでに自分の分は調達していたが、如何せん
妙にお洒落な学者とメイドの二人の買い物は、まだ終わりそうにない。
マリア「はぁ・・・」
ため息混じりにマリアがあたりを少しぐるりと見回してみると、彼女の目に特異な
この町には不相応な格好をしている一団が目に留まった。
マリア「・・戦争が起こるのかしらね・・・この町にも、海賊が来るように
    なったなんて・・・」
物憂げな表情をしているところに、大層機嫌良さそうにエレノアが店から出てく
る。どうやら満足のいく買い物が出来たらしい。
エレノア「どうしたの?」
マリアは物言わず、海賊の方に流し目をした。
エレノア「こんな街に似合わない格好してる集団ね・・・」
海賊のようだ、とエレノアも考えた。
どうやら、その中には一人、女性も混じっているらしい。
豊かな金髪、若く美しい表情。
海賊達のアイドル的存在なのだろう。
腕っ節も強そうで・・・まるで、彼女は少し前に知り合ったけれど消息が不明に
なった・・・
エレノア「ん?」
エレノアは、目を見開いて、もう一度彼女を見て、それから大声を上げた。
11/10/2001