流動のSaGa


エレン「とりあえず、私はアバロンと言うところに行ってみたいわね。」
武装商船団のなかでもひときわ大きい船の上で、エレンはカモメを見つめながら呟いた。
エレン「だって、コウメイもそのアバロンから来たんでしょ?」
エンリケもすぐにコウメイはアバロンからの回し者だとわかったが、咎めることはしない。
エレンに既に彼はついていくと決めたのだ。
エンリケ「でもよ、エレン。あまり俺達は表だって今はアバロンの味方をする
     ことはできねぇぜ?」
しかし、これはエンリケの参謀としての意見である。
あくまで武装商船団はアバロンと敵対することはないと宣言したものの、
味方をするなどとはエレンの口からも出ていない。
また、カンバーランドはそんな商船団の同行を、まだ正確には把握していない。
何事を成すにも、まだ早すぎるのだ。
エレン「・・・世界サミットって、いうのがあるんでしょ?」
とりあえずエレンの頭の中には、コウメイが重要視しているそのイベントについて
は漠然とした知識しかないが、とりあえずアバロンにとっては明日を左右するよう
なイベントであるということは解る。
まずは、それを開催させることだ。
エレン「・・・なーんだか、面倒なことにならなきゃいいけど・・・」
既になっているとは知らず・・・

一方、エレノア達もこのままフォーファーにとどまるのは無益と考えていた。
大体の世界情勢はマリアから知り得ることが出来たし、それに、戦争をおっぱじめ
ようと言う国にいてエレノアは先日面倒な目にあったばかりだ。
マリアは魔力炉に関しては結構な封印をしてあるらしく、そもそもばれず、ばれて
も誰にも使えないようにしてあると言うことで、国外に行って見るという意見には
合意している。
エレノア「・・・こっから、アバロンに向かう船なんてあるわけないもね・・・」
本当は彼女はアバロンに行ってみたいのだが、表だって戦争が始まろうという
矢先、誰も好きこのんでアバロンに船など出さない。
仕方がないので、とりあえず彼女たちは陸路を選択しようかとも考えた。

エンリケが急な用事を思い出して、カンバーランドへ一度向かうことになったのは
誰にとっても幸運な話であった。
武装商船団はとりあえずは表だって組みすることを止めたとはいえ、貿易に関して
は世界を動かす存在である。
カンバーランドといえど、彼らの交通に関しては手出しが出来ないのだ。
その貿易のことで、エンリケはホーリーオーダーと会合があるのをすっかり忘れて
いたのだ。
最早権利は全てエレンに譲ったとはいえ、表だって公表もしていないし、
そういう交渉は世界に不慣れなエレンには無理だということで、
船はフォーファーに止めることになった。
留守番係はエレンとその他の海賊達。
エレン「暇ねぇ・・・」
向こう数日は帰ってこないらしい。
エレンは、街に繰り出すことにした。
11/08/2001