商売のSaGa


取りあえず、世の流れもあり一行はピドナへと向かえるのであった。
ピドナへ向かう時に、マミはずっと浮かない顔をしているのをトーマスとサラはわかっていた。
それが、自分たちに少なからず理由があることも。
マミ「神王教団・・・」
向こうの世界から苦渋を共にしたアルベルトとアイシャ。
彼らはいま、神王教団の手のうちにある。
トーマス「・・・今は、神王教団に手を出せる時じゃない・・・」
マミに聞こえないように、サラと二人で、トーマスはごちいた。

商売を始めるのには、まずトーマスの親戚の家に向かうことが第1だった。
そこは商売の家系であり、今はここに当主がいないクラウディスの差さえとなっていた
エージェントのいる所でもあるのだ。
トーマス「失礼します。」
突然の来訪に驚くわけでもなく、親戚の一同は向かえてくれた。
叔父「フルブライト様からの使いが着たのだよ。」
道理で。
一同は納得した。
この叔父はフルブライトからも信頼出来る人物らしく、色々な情報を授けてくれた。
叔父「取りあえず、会社を立ち上げたばかりの君は未だ何処にも相手にされない
   だろうから・・・私が信用できる所に援助を頼んでみるよ。」
言葉の裏腹には、信頼を裏切る真似はしないように、と強い念を押す感も感じ
られていた。
トーマス「わかりました・・・」
こうして、トーマスカンパニーが立ちあがるのである。

こうなると暇なのがユリアンである。
モニカは王室暮らしが長く、退屈には慣れている。
取りあえず向こう一ヶ月は退屈なのだ。
戦闘と違って会社の戦略にはかなりの時間を要する。
闘う事しか出来ないユリアンは退屈で仕方なかったのだ。
ユリアン「退屈だな・・・」
港に一人でふらふらと散歩しに来たは良いものの、当てもない。
海を眺めていると、後ろから声がかかる。
マミ「ユリアン、何してるの?」
5歳ほど年下であろうこの少女は、自分やモニカに敬語を使うことも無く不思議と
打ち解けている。
その風貌は、彼の心に眠っている女性像を思い浮びあがらせた。
ユリアン「・・・エレン・・・」
マミ「エレン?」
マミはこの呟きに過敏に反応した。
マミ「それって、恋人?」
ユリアンは少し悲しい目をして、首を振った。
ユリアン「おれの片思いさ。」
マミ「ふーん・・・で、その人は今何処に?」
ユリアン「わからない。風の噂だとどこか遠いところへいってしまったとか。
     もう会えないのかな?」
遠いところという感覚は、マミには薄い。
恐らく自分と同じく色々な次元を歩き回っているだろうと想う。
しかし、ユリアンには未知の領域で、不可知なのだ。
マミ「大丈夫。また会えるよ。」
ユリアンはマミの顔を見ていると、不思議と彼女の言うように想えた。
ユリアン「ありがとう。さて、一回戻るか。」
10/31/2001