二人の皇帝のSaGa


ミレイユ、スカイア、シフ、プルミエールがナイトハルトの元へ戻ったのは、アニーらに遅れる事数日だった。
アニー「シフ!!」
アニーが城からシフの姿を目に留める。
お互いに生きていて良かった、そう思ったが、隣からグスタフが顔を出す。
グスタフ「・・・エレノアがいない・・・だが、見た事の無い・・・」
言い終える前に、クローディアも感じる。
クロディ「何やら、大物が出てきたようですね・・・」

ミレイユは自分が他の世界に来たのだという事を実感したのは、特に、ナイトハルトの謁見である。
ハルト「一同、顔を上げよ。」
気品、威厳、どれをとっても皇帝・・・いや、まだ彼は皇太子ではあるが、既に皇帝の器の人物・・・
皇帝が二人。
今の自分は皇帝ではないが、そう思えば、やはり異邦の地なのだ、としみじみ感じてしまう。
今の自分は皇帝らしかぬ格好をしている。気配にさえ気をつければ、よほど神経に優れたもの以外は
自分の巨大な「力」に気がつかないだろう。
気づいたとしても、零れ落ちるしずくのごとき、だ。
目の前の皇帝は、人間としては強いのだろうが、自分とは力の差がありすぎる。
戦闘力においては。
しかし、ミレイユは考えた。
この男は、人の上に立つ上で最も大切なものを全て持っているように感じる。
カリスマ、決断力、実行力。
こればかりは、分化の違いもあるだろうが、自分とさほど差異があるようには感じられない。
女の皇帝である自分は、異邦の地の皇帝を、文化を学び、知るために来たのだ。
プル「私達は、秘境を発見する事が出来ました。」
プルミエールが鋭い目でナイトハルトを見据える。
その目は、お人払いを、と強く皇帝に訴えている。
ハルト「・・・お前達は下がれ。」
近衛兵たちの人払いを済ませると、シフが立ちあがり、言い放った。
シフ「陛下。秘境の事は今は忘れてください。」
強い意思を感じる警告に、ナイトハルトは面白そうに抗議をした。
ハルト「なぜだ?」
プル「この二人のものは、秘境の彼方より来たれし異世界に住むものです。
   彼女達に話を伺うのが一番でしょう。」
黒いプリンスは、声を出さずに促した。
スカイア「・・・私達は、あなたがたとは違う世界に存在するもの。
     あそこからは二つの世界を自由に行き来できる空間が存在するので
     しょうけど、今は、向こうの・・・私達が本来いるべき世界には干渉
     しないで頂きたいのです。
     向こうも、戦争の真っ只中です。
     あなたのような野心家が現れると、面倒になるからです。」
スカイアははっきりと言い放った。
ハルト「ほう・・・面白いことをいう。この鳥人間らしきものは。」
らしきではないんだけどね、とスカイアは独りごちる。
ハルト「私が野心を抱いているなどと、異世界から来たキミ達が如何してわか
    る?」
スカイア「顔に書いてありますから。」
スカイアの態度は、ナイトハルトを不機嫌にさせた。
自分を皇太子だとも思わない態度。
ハルト「ほう・・・」
ナイトハルトの殺気が濃くなる。
シフとプルミエールは我関せず。
止めたのは、ミレイユだ。
ミレイユ「やめなさい、スカイア。」
たった一言で、スカイアの態度が萎縮する。
スカイア「へ・・・」
ミレイユ「そう呼ばないでっていっているでしょう。」
スカイア「あ・・・わかりました、ミレイユ様。」
ナイトハルトは不審に思った。
ローザリアの皇太子である自分に逆らうのに、なぜこの少女・・・見た目は少女のものであるものに従うのか。
ハルト「・・・お前達は、何物だ?」
ミレイユは、キッパリと答えた。
ミレイユ「ただの、旅人です。」
09/20/2001