砂漠のナイトのSaGa


男「・・・」
右頬が腫れ上がっているのはエレノアの廻し蹴りによるものだ。
エレノア「あなたが突然声をかけたのが悪いの!」
責任転嫁も良いところだ。
男「・・・ともかく、君達はあのサンドウォームを一撃で倒すとは・・・」
しかし、男のほうは機嫌悪そうではなく、むしろ目が垂れ下がっている状態で話を続けた。
男「私はスライマーン。この砂漠一帯を守るデザートガードの一人だ。
  最近、このあたりにも魔物が増えてな・・・」
なるほど、良く見ると鍛えられた腕、精悍な顔つき。
手練れの戦士だという事がわかる。
助平だが。
スライ「君達は旅人か?」
エレノア「一応ね。」
着替えを終えたエレノアがじと目で睨みながら答える。スライマーンは別に臆する様子も無く、
今度はシェリルのほうを見る。
スライ「あまり、しかし、砂漠を歩く格好には見えないが・・・」
シェリル「いえ、大丈夫ですよ?」
確かに、この娘は汗一つかいている様子が無い。見ているだけで汗が出てきそうな
格好をしていると言うのに。
スライ「・・・とりあえず、砂漠を出るのは向こうだ。
    ずっと行けば街が在る。そこからステップにでて、カンバーランド
    に・・・いや、今はあそこはまずいな」
シェリル「?」
エレノア「今はまずい?」
スライ「いや・・・あまり表沙汰にはしたくないんだが、今、あそこではアバロン
    との戦争に備えて・・・おっとっと。」
どうやらこのスライマーンと言う男、口はあまり固くないようだ。
エレノア「・・・実は、私達そのアバロンから逃げてきたの・・・」
嘘八百。
エレノアもシェリルもアバロンなど先に元皇帝のミレイユから少し話をかじった
程度で行った事はおろか見た事もない。
スライ「いや、そりゃ、如何してだ?」
エレノア「実は・・・あそこの国は何やら戦争の名目で裏では如何わしいこと
     をしてるって・・・私も、あの国で散々な仕打ちを・・・」
涙目で訴える。
心の中では笑っているのでは在るが。
スライマーンはまんまとだまされる。
スライ「やはり、アバロンはそうだったのか・・・
    そうか、ならば実はカンバーランドとの連絡係という役割も我々には
    在るのだ。うむ、やはりそうか。ならば、君達はカンバーランドに亡命
    するのが良いな。」
亡命も何も国籍すらないのだが、ともあれ話はどうやらうまい具合に流れるようだった。
アバロンは皇帝がいた国。そちらは後回しだ。
まずは、先の話でも聞いたカンバーランド。そっちを叩く必要がある。
エレノア「・・・シェリル、うまく行ったわ。」
シェリル「戦争だなんて、やっぱり大変だわね・・・どこも・・・」
2人はスライマーンの後をついて行った。
08/05/2001