一段落のSaGa


ナイトハルトに報告をし、ひとまず、死闘は幕を閉じた。

ナタリーはかなり衰弱してはいるが、難とか一命を取り留めたようだ。
ネメシスも、必要以上の魔力を消費して、体が衰弱しているが別に命に別状は無いらしい。
アニー「・・・あたし、まだまだね・・・」
グスタフと、二人、夜に人気のいない場所で呟く。
アニー「あんなバケモノ相手に、油断するなんて。それで、ナタリーを危なく
    させて・・・」
グスタフ「・・・戦いでは、そういう事もある。心配するな。
     お前だけが、今度の闘いで傷を負ったわけではない。」
アニー「・・・ありがと。そういえば、あなたも剣を無くして、ファイアブランド
    も無くしてるんだもんね・・・」
ファイアブランドはフィニー王家の証。象徴。それを無くしたグスタフは、ただの
冒険者にしか過ぎない。戦闘においても多大な貢献をしている秘宝なのだ。
グスタフ「心配要らない。ファイアブランドは秘宝だ。あの程度で消失したりは
     しないさ・・・今度、あの悪魔に勝てる力を身につけたら、また
     とり返せばいい。それだけだ。」
アニー「とり返すって・・・」
あの悪魔に、勝てるの?
そう、言えなかった。グスタフの目を見たら。
彼にとって自分の中に流れる血は誇り。アニーは多くを知らなかったが、 グスタフの瞳にこめられた怒りと、悲しみとが同居したものを見たら・・・
全ての言葉を、放棄してしまう。
アニー「そうね、あたしも、アンタに負けないように頑張らないとね・・・」
グスタフが、ふふっ、と笑った。

ハルト「・・・ジュエルビーストの伝説は本当だったか・・・」
蔵書の中で見た、悪魔ジュエルビースト。
空想だと思っていた、超破壊力。しかし、彼が空想だと思うのは無理も無い。
あまりに現実ばなれした超破壊能力と耐久力。
しかし、それを間近で体験してきた者達。
ハルト「・・・秘境、か・・・」
人間が立ち入ってはいけない場所を秘境と呼ぶなら、それはまさしく秘境。
ハルト「二手に分かれたもう一つのグループは、どうしたのか・・・」

悪魔は目の前にある灼熱の剣をじっと見つめていた。
ジュエル「・・・この剣は、一体・・・」
触る事が敵わない。
触れた瞬間、自我までもが焼き尽くされそうな錯覚を見る。
ジュエル「・・・奴ら、また来るな・・・」
久々に、体が震える相手に出会った。
太古の神々の闘い以来だ。
ジュエルビーストは、また来るであろう戦いに供え、眠りについた・・・
08/02/2001