生命の絆のSaGa


ネメシスの魔力の奔流が、一時止まる。
ネメシス「ナタリー?」
ナタリー「もう、いいから・・・あたしは、まだ、大丈夫・・・」
必死に息を整えようとしている。
ナタリー「・・・帰ろうよ。ネメシスの怒ってる姿なんて、誰も見たがらない
     からさ・・・ほら、笑おうよ・・・」
痛々しい笑顔。しかし、それがネメシスを正気へと導く。
ネメシスから急に魔力が消えうせていく。
悪魔は、未だ攻撃態勢が整っていない。
逃げるチャンスは、今しかない。
グスタフ「ファイアブランドよ!!」
さっきまでとは比べ物にならないほどのアニマをファイアブランドから引き出し、
グスタフは悪魔に向かって投げる。
それは、さっきまで持ってたアニマの力を抑える役割のある鋼の剣を無くし、 彼のもつ力を最大限に発揮できた結果だった。
彼は、術においても天才なのだ。
素早い動きで、アニーは力を失ったエレノアを抱き、走る。
グスタフ「爆発するぞ!」
そして、飛ぶ。
衝撃波が、彼らの体を更に遠くへ投げ出す。
グスタフはナタリーを、アニーはネメシスをそれぞれ必死に庇う。
取り敢えず、5人全員。五体は無事だ。
クロディ「取り敢えず、逃げましょう!」
体に走る痛みに、泣いている暇は無い。
この悪魔から、逃げなくては。

夢の中で、ネメシスはナタリーを見つけた。
屈託の無い笑顔で笑う、初めての友達を。
その彼女が、少し寂しい表情で、遠くへ行ってしまいそうになる夢・・・
ネメシスの伸ばす手が、ナタリーを捕まえて・・・

ネメシス「・・・ナタリーは、生きています。」
洞窟から外に出、取り敢えず身の安全を確信する。
悪魔の襲いかかるあの圧力は感じない。ひとまず、追っ手も無い。
ナタリーは意識を失い、昏倒している。
ネメシス「死なせはしません。彼女は・・・」
アニー「ネメシス・・・」
アニーはネメシスに謝る事も出来ない。
自分があまりにふがいなかったから。
ネメシス「彼女は、私を止めてくれました。
     大切な友達・・・だから、私は、彼女を死なせません。」
夢の中で、確かに自分はナタリーを捕まえた。
自分の力で。
クロディ「・・・山脈越えは、厳しいわよ?」
少し深刻な表情でクローディアが呟く。
そんな事をしている暇は無かった。来た道程を考えると、ナタリーは持たない。
ネメシス「・・・大丈夫です。さっき、私は魔力を発動させた時、ある事が
     出来るようになったのですから・・・」
こっちに集まってください、とネメシスに手引きされる。
ネメシス「・・・」
ネメシスが意識を集中させると、全員の意識は何処かに遠い場所に飛ばされていく浮遊感を味わう。
気が付いた先は・・・クリスタルシティ。
アニー「ここは・・・?」
ネメシス「・・・私の魔力は、ここが、げんか、い・・・です・・・」
ぱたり、とネメシスが倒れ伏せる。
全ての魔力を放出して、テレポートをしたのだ。
恐らく、あの悪魔の魔力の余波がとどかない外で行う必要があったのだろう。
グスタフ「・・・魔力の放出のし過ぎだ。心配無い。」
クロディ「取り敢えず、二人を病院に・・・」
08/02/2001