死の淵のSaGa


とげは、ナタリーの背中をえぐった。
アニー「ナタリー!」
傷はかなり深い。ナタリーが突き飛ばしてくれていたおかげで自分は無傷だが、
あのままだったら脳天を突き破られていただろう。
クロディ「ナタリー!!」
癒しの水を施すが、傷跡が消えるだけで、彼女自身に回復が見られない。
ダメージが大きすぎた。
ナタリー「え、えへっ・・・私も、役に立つ・・・でしょ?」
顔面は蒼白で、死相が出ている。
ネメシス「ナタリー、どうして・・・」
どうして笑っていられるの、といいたいが、声が出ない。
ナタリー「私も、みんなと一緒に戦ってたんだよね・・・」
アニー「もう、喋らないで、ナタリー・・・」
アニーは自分の油断を死ぬほど悔いた。
本当なら闘わずに済んでいた筈の少女が、自分の、死線をかいくぐってきた自分の
代りに傷つき倒れる。
グスタフ「・・・」
グスタフが、懐から薬草を取り出し、炎の術で煎じ、呑ませる。
グスタフ「何時まで持つかだな・・・ナタリー、喋るな。
     いきたかったらな。」
ネメシスは、涙に沈む。
そして、ジュエルビーストの動きも、止まる。
悪魔には思いやる感情などない。しかし、悪魔の体は動かなかった。
まるで、何かに締め付けられるように。
ジュエル「く・・・ワシの体が・・・」
力の流れを読む。
悪魔は、その流れを読み・・・
ジュエル「あの娘かぁ!?」
悪魔の動きを締め付けているのは、泣き崩れている少女。
ネメシス「ナタリー・・・ああ、私の初めて出来た友達・・・」
彼女の感情が高ぶるにつれ、悪魔の動きは更に締め付けられる。いや、動きだけではない。 体すら、悲鳴を上げ始めている。
グスタフ「・・・なんだ?」
クロディ「ネメシスの周りが、熱い・・・」
悲しみの感情が、徐々に変貌する。
怒りへと。
ネメシス「許さない・・・」
ネメシスはたちあがる。そして・・・
ネメシス「ああああああああ!」
08/02/2001