傷のSaGa


ナタリーがクローディアの弓を持つ。
ある程度は使えるようになった弓だ。牽制程度の役目は引き受けられる。
最も、目の前の悪魔にそんなものはきかないとはわかっていても・・・
ジュエル「そんな弓、このワシに効くものか!」
皮膚が弓をはじく。宝石を狙っても、やはり宝石は固い。はじかれる。
ならば・・・目。
ジュエル「ワシの目玉は鉄より固いのじゃ!」
全く効いていない。しかし、予想済みだ。
ジュエルビーストはナタリーに攻撃をしかける気配は無い。あくまで、アニーに
標準を合わせている。
彼女が、この中で一番攻撃力を持っていると感じたからである。
ジュエル(・・・あの女がワシの隙を見ているのか・・・)
アニー「あのバケモノ・・・作戦を読んでるのね」
読まれているのがわかる。
何の痛痒も感じないナタリーの弓は、そのうちきれる。
アニー「・・・仕方ないわ。グスタフ。あなたの剣技にかけるわ・・・」
作戦をアニーは自ら放棄した。
クロディ「アニー!?」
ためていた力を全て突進の爆発力に変換する。
悪魔も、予測していたとは言え、少々早い作戦に対応が遅れる。
しかし、問題ではない、所詮、自分に傷をつけられはしない。
打ち払う事が出来なくなった程度で、彼女は自分の力のなさを嘆くくらいだ。
彼女の剣が体に差さる。
ネメシス「アニーさん!」
ネメシスが突然声を張り上げる。
アニーは考えるよりも先に体をひる返す。
ネメシスが最大級の稲妻を呼び出す。サンダガ級だ。
狙ったのは、アニーの突き刺した剣。
ジュエル「そんなもの・・・」
魔物には誤算があった。
確かに、自分の皮膚にはそのような稲妻、多少は効けどもダメージには残らないはずだった。しかし。
ジュエル「うっ!?」
アニーの刺した剣は、魔物の体内に深く刺さっているのだ。
稲妻は、魔物の体内にまで伝わり・・・
ジュエル「ぐぁぁぁぁ!?」
魔物に、初めてダメージの色が見える。
グスタフ「今だ!」
洞窟の中に置いてのこり少ない樹のアニマをありったけ集めて、引き起こした風で
グスタフは先ほどの傷口に突進する。アニマ最大に引き出した炎で、その傷をえぐる。
魔物の顔が苦痛に揺らぐ。
クロディ「よけてください!」
二人は剣を引き抜き、そこに生じた空洞にクローディアの高圧水が入りこむ。
クロディ「中はもろいものよ!」
魔物の体を突き抜け、水は反対側の体から出る。
魔物の巨体が揺らぐ。
アニー「やった・・・」
逃げるチャンスは今しかない。
グスタフ「ネメシス!クローディア!」
手を振り、逃げろ、の合図を出す。
ナタリーは既に走り出していて・・・
ナタリー「!」
死角になって、他のメンバーは見えていない。
魔物の背中からとげのようなものが伸びて・・・
速い!
そのとげは、アニーを狙っていた。
比較的、油断しているアニーを。
ナタリー「アニーさん!アブないっ!」
鮮血が、舞った。
08/02/2001