語りのSaGa


オアイーブは語った。
世界が元々一つであった頃の世界のことを。
七英雄が如何にして存在し、自分達の存在とは果たしてどのようなものであったかも。
それは、エレノア達はともかくとし、スカイア、そして皇帝自身は 大きくショックを受けるような内容であったのだ。
ミレイユ「そんな事が、あってたまるものですか・・・」
独りごち、そして思い出す。遥か昔・・・もう1000年以上も昔、未だ皇帝が
レオンであった頃の記憶。
この女魔術師は、確かに言った。
今と、同じような事を。
オアイブ「陛下、ようやく思い出していただけたのですね。」
オアイーブはそんな自分を見透かしているかのようだ。
エレノアが、口を開く。
エレノア「・・・あのさ、そりゃ、ここに生きているあなたが他の世界の存在を
     信じられないのは無理無いわ。まあ、私もそうだったし。
     でもさ、事実、ここにいる人達はあなたの知らない世界からここに
     足を運んでいるの。そうね・・・」
今度はエレノアが話す番だった。
彼女が元々いた世界のこと。実験で他の世界に飛ばされ、そこで見た次元を駆ける翼、ステスロス。
その後、エレノアはアニー達と出会い、シフ達と出会い、プルミエール達と出会った。 遥かの世界でであった天才科学者達の時空解析や、四次元の事なども。
オアイブ「・・・驚きました。」
オアイーブが驚いた事は、彼女達が伝承としていた伝説の神々の遺産、ステスロス
が未だに存在している事だった。
そして、四次元と言う観念。
ただの人間達が考えられる事ではない。
そこには、様々な因果が関係し、想像を絶するような羽陽曲折を経、そこまで辿りついているのだ。
明かに、これは、運命のなせる業。
ミレイユ「これが、あなたが昔にいった『アバロンなどは小さな国の一つ』と
     言う事なの?」
確信を込めたような口調で皇帝は話す。
魔術師は一度だけ、頷いた。
エレノア「ともあれ・・・なんだか、大変な話になってるわね。」
今話していて気が付いたことがある。
博士達に、この事実を報告しなくてはいけない。それに、予定外に今まで足を
踏み入れたことの無い土地にもう一つ足を踏み入れた・・・これは、予定外に
彼らの研究の結論が早まる事をも意味していた。
そして、それが楽にではないにしろ、自由に・・・今までとは違い、何時でも
必ず行き来できる入り口を見つけたのだ。
エレノア「・・・少し、外に出るわ。みんなは、休んでて・・・」
ドクター達との、交信を試みる。

ミレイユは迷っていた。
自分は皇帝陛下だ。この国を守らなくては行けない。
それに、今は未だ戦乱が続いている。このままでは、アバロンは滅んでしまう。
自分が、人々を導かねば・・・嘗てのように・・・
シェリル「・・・それは、でも今は無理です。」
シェリルの一声でハッとさせられる。
ミレイユ「あなたは・・・私の心を読めるの?」
シェリル「いえ・・・漠然としたものですが、あなたの心に闇が棲み付いている、
     そんな気がしたのです・・・闇に呑まれては行けません。
     あなたは、光り輝く翼を持っている方・・・」
オアイーブは、シェリルに鋭い視線を送らざるをえない。
オアイブ(この娘、もしや・・・)
07/31/2001