ワカツの奥深くまで進入した二人のIRPOの隊員は、そこで信じられない物を見た。 ドール「これ・・・」 垣間見しかする事が出来なかったが、明かに、こんな物は元々ワカツにあったものではない。 ワカツを良く知らないエレンですら、そのことは理解できた。 エレン「地下工場・・・」 地下で生産されている物は、勿論機械。さっき見たような、戦闘型の・・・ ドール「この為に、ワカツは滅ぼされたと言うの?」 廃墟を隠れ蓑にして地下に作られた、秘密工場。 エレン「でも、一体何の為に・・・」 ワカツを滅ぼしたもの達と、必ず関係があるはずだ。 ドールの長年培ってきたパトロールの感が、これは何者かの陰謀だと直感したのだ・・・
ローバーンの郊外にある一軒の家。 そこに、グレイは足を運んでいた。 グレイ「・・・俺だ。」 グレイだと言う事を中にいる女性が確かめると、彼女は「入って」と一言いってドアを空けた。 モニカ「いらっしゃい、グレイ。ジャンから話は聞いてるわ。」 中にいたのは、女性が二人。 一人はモニカで、もう一人は・・・ グレイ「あの娘は?」 あまりに綺麗過ぎる緑の髪。芸術作品のような整えられた顔立ち、気品。 モニカ「アセルスと言う名よ。彼女がローバーン公暗殺に関わっているらしいわ。 信じられる?」 モニカが肩を竦める。私には信じられないわ、と言いたいのであろうか。 グレイ「・・・外見では判断し難いな・・・」 グレイがアセルスに近づく。 アセルス「ん?」 彼女に警戒の色はない。 グレイ「君は、どうしてこんな所にいるのだ?」 最もである。ローバーン公を暗殺した事件はかなり広まっている。 人物像も割れているだろう。それなのに、どうしてわざわざこの目立つ容姿で再び この地に来たのか。それが謎だった。 アセルス「ああ、私の足が勝手にこっちに来ただけだよ。 そしたらこのお姉さんに見つかって、色々話をしてたのよ。」 全くグレイに対して警戒心がない。 グレイは対照的に、この見た目は少女の姿である者に対し、警戒を強める。 アセルス「でも良かった。男の人が来てくれて。男の人だと安心できるからね。」 この言葉がグレイには引っかかった。 グレイ「どう言う事だ?」 アセルス「言っても信じないよ。」 グレイ「それは俺が判断する事だ。」 アセルス「・・・仕方ないなぁ・・・」 アセルスは一息ついて、語り始めた。
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