闇の道のSaGa


酒飲み部隊は、取り敢えず北東の洞窟を抜けるコースを行くことに相成った。
相変わらず、エレノアは二日酔いである。
エレノア「・・・太陽の下で酸素の薄い山を上った方がよかったのか、太陽の光の
     ない、空気がおいしくない洞窟を行った方がいいのか、私には判断でき
     ないわぁ・・・」
一長一短である。
そして、30超えて今だ健在の超強力戦士シフ、ハタチ未満と言うのにシフに 勝るとも劣らない鉄の女プルミエール。顔色一つ変わっていない。
プル「でも、エレノア様が一番飲んでますよね。」
シフ「二日酔いになるのにね・・・」
確かに、エレノアが一番飲むのは事実だった。
彼女の場合は、いくら飲んでも潰れないが、いくら飲んでも二日酔いになるのだ。
つまり、酒の一杯で二日酔いになることも、ある。
特殊体質なのだろう・・・
プル「!」
シフ「!!」
正常な精神状態や肉体状態にある二人が、敏感に敵意を察知する。
エレノアは、かなり遅れて。普段の状態なら、誰よりも早く察知できるのに。
エレノア「・・・なんだか、私、役に立たない〜・・・」
杖によっかかりながら、エレノアはやっと体を起こした。
プル「結構、多いですわね・・・」
シフ「ああ・・・酒を抜くのには丁度いい相手だな、エレノア。」
二人ともよりにもよって馬鹿でかい斧を担いでいる。
黒曜石で出来た超重量の斧に、巨人族が作ったジルコンの斧。
エレノア「・・・お願いだから、私にぶつけないでね・・・」
エレノアが危惧するのも、最もである。

洞窟の中を歩き始めて3時間強。
ようやくエレノアも酔いが醒め初めて、何とか術を使えるようになっている。
エレノア「そりゃさ、連戦連戦だもん・・・」
しかし、敵の強さは侮れない物があった。
窮地に陥る事は一度もなかったのだが、楽勝、と言うのも少し語弊がある。
敵のレベルはそれなりに高かった。彼女達が、レベルアップできるくらいには。
プル「黒曜石の斧も、刃がかけ始めたわね・・・」
とはいえ、この斧は元々「叩き潰す」ための用途があり、刃が多少欠けた程度では
戦力的に問題がない。
とはいえ、このまま戦いつづけていても、何時かは壊れる。
彼女は単に武器だけで戦っているのではない。アニマを引き出して闘っているのだ。 だから、この斧に「石」のアニマが消失したら、これは崩れ去っていくのだ。
プル「まあ、いざとなったら素手で戦うまでよ。」
プルミエールの体術は、馬鹿に出来ない。
シフ「さて、次のお出ましだよ!」
青いスライムや骨をローブに包んだ魔術師、小剣を持った悪魔達が次々と立ちふさがる。
エレノア「ったく、厄介な道ね!」
炎石の髪飾りと樫の杖からアニマを引き出し、エレノアが術に集中する。
酒気はほぼ抜けている。
エレノア「ファイアストーム!!」
紅蓮の炎の波が、魔物達を飲みこんでいく。
プル「シフ!そっちをお願い!」
プルミエールの拳が、蹴りが、空気を切り裂いて魔物を打ち倒す。
シフ「応!」
シフは斧を諸刃の剣に持ち替え、一振りで数匹の敵をなぎ倒す。
エレノア「焼け残った敵は全滅させないとっ!」
アニマをこれ以上使うほどもないことを判断し、エレノア自身も杖を振りかざし
敵を打つ。
洞窟は、まだまだ長い。
07/26/2001