マンハッタンの一番高い宿。 そこの喫茶でミリアムとレッドは対面しながらお茶を啜る。 ミリアムは音を立てずにコーヒーを飲み干して、冷たく一言を言い放つ。 ミリアム「あんた、そりゃ最低だわ。」 怒りと言うよりも、ただの呆れがミリアムの声から感じられる。 レッド「だから、どうして・・・」 ミリアム「あんたねぇ・・・ホント、女心ってモノをしらなすぎだよ。 平たく言うと、デリカシーの欠片も無いって奴?」 ウェイトレスにお代りのコーヒーを頼みながら、ミリアムはレッドの方に手を振った。 ミリアム「あんたが考えてるより女ってのは潤嬢でウブなのよ。 もう少し自分の言動には思いやりって物を追加しなよ。」 そうは言われても、当のレッドにはどうしようもない。 レッド「エレンはともかく、ユリアにまで嫌われちまった・・・」 ミリアム「・・・わかってないなぁ・・・ 『ともかく』なんて言われたエレンはどう思うかしらね?もしさ、 この会話を聞いてたとしたら・・・ それが、アンタのデリカシーの欠如って奴。」 コーヒーのお代りが来る。 ミリアムはガムシロップをニ配分も入れ、超甘甘のコーヒーを仕上げる。 おまけのクリーム。 ミリアム「まあ、あたいはアンタみたいな男たちと冒険した事があるから 多少はなれてるけど、エレンみたいな恋を知らなかった女性には 堪えたろうね。 取り敢えず、彼女は当分戻って来そうに無いから・・・ お姉さんが、あんたの性格を矯正してあげるよ。」 あまり聞いてなさそうな惚けたレッドの表情をみて、ミリアムは思いっきり 顔面に拳をぶりこんだ。
エミリア「ふんふ〜〜ん」 IRPOの本部で情報処理を行うエミリア。 つい先日まで彼女がこの部署では一番の新人だったのが、先日新入りが3人ほど 入ってきて、彼女もようやく一応先輩としての立場を持てるようになった。 その新入りの一人が、ユリアだ。 ミーシャ「エミリア、ヤケにご機嫌ね?」 先輩の一人のミーシャが機嫌良く鼻歌を歌いながらコンピューターを
いじっているエミリアの姿を見て、つい声をかける。 エミリア「だって、もう私が一番の後輩じゃないんですよ。なんだか嬉しくて♪ ・・・まあ、でもまだまだ下っ端ですけど。」 ミーシャ「ああ、その気分はわかるわね。私も同じような事考えたもん。 とはいえ・・・あなたよりも仕事が出来る新人がいるってコトには、 変わりないけどね?」 エミリアの表情が陰る。 エミリア「え?」 ミーシャ「あのユリアって言う新人・・・あの可愛い子ね。あの子、相当な腕だ よ。きっと何処かで情報処理の専門やってたんだよ?」 IRPOとて一枚岩ではない。 新人はある程度の資格習得が要るのだが、その資格習得程度では最初は通用しない ことも事実だ。 ミーシャ「あの子、もう実戦レベルの能力があるわよ?」 エミリアのプライドに若干傷か付いた。 エミリア「・・・負けらんないわ・・・」 可愛い、と言う事も、相成ってか。 プライドなんて役に立たない事など重々承知しているのだが、
どうしても、優先してしまうのである。
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