警察のSaGa


IRPOとは、簡単に言えば、リージョン界の警察である。
本部は丸まる一つのリージョンであり、かなり巨大な組織である。
エレン「ここが、IRPOのリージョンですか・・・?」
エレンの知っている警察では、これほどの規模は無い。
確かに、文明の進み、いろいろな事故が各リージョンで多発するのであれば、 警察いち組織としても巨大にならざるをえないのだろう。
ヒューズ「さあ、ついたぞ。」
まずエレン、ヒューズと降りる。
そして・・・
女の声「私も、お邪魔していいですか?」
不意に二人の後側から声がかかる。
二人が同時に振り向くと、そこには、さっきの店の、あの娘が・・・
ユリア「私も、お邪魔してよろしいですか?」
その笑顔には怯えが無い。
ヒューズ「・・・お姫様は?」
ちらり、とエレンに目配せする。任せる、と言う事だ。
エレンの方は、正直、ユリアとあまり顔を合わせたくなかったのだが・・・
悪いのは彼女ではない。そう思うのは自分の大人気無いジェラシーであって、
彼女に非は無い。それに、どうしてこんな所に付いてきたのか、興味もある。
エレン「ヒューズさんが邪魔と思わなければ、構いませんよ。」
嬉々揚々とした表情に変わり、ヒューズはユリアの手を引っ張る。
ヒューズ「ヨロシクな、お嬢さん。」
お姫様に比べれば、未だマシな部類か。

取り敢えず、着替えだ。
着替えと言うと、IRPOの制服に決まっている。
どうしてかと言えば、ヒューズがそうしろと言ったからである。
正式な組織員でもない彼女達が、これを着る意義が何処にあるのかは、この時点では謎だが。
エレンが、重い口を開いた。
エレン「・・・どうして、ここにいるの?」
どう取り繕っても、この言葉はこれ以上に繕えない。
単刀直入過ぎる、とは言え、エレンにはこれが精一杯だった。
ユリアは少しもったいぶって答えた。
ユリア「あのね・・・私、一年前、ううん、さっきまではレッドの事が好きだった
    の。彼も、一年前、最後に私と会ったときまでは、そうだったわ。
    でも、もういいのよ。彼は、私にとってもうどうでもいい人。」
妙なくらい落ちついていて、本心を語っているように思われた。
エレン「じゃあ、どうしていきなりそうなったの?」
尤もな疑問を、エレンは当然のように返す。
ユリア「彼が、あなたにあんな事を言ったから。」
エレン「え?」
ユリア「あなたも、彼のことが好きなのでしょ?
    でもさ、あいつ、鈍感だし、何より、人の気持ちをわかってないのよ。
    それに・・・」
言いかけて、止める。
エレン「それに?」
ユリア「・・・何でも無いわ。ただ、彼には幻滅した。それだけよ。」
エレンとレッドの間に、絆を感じた、自分には作りえなかった、絆を。
でも、そんな事は言わなかった。
ユリア「同じ男に失恋したもの同士、仲良くやろうね。」
エレンもまた、なんとなくわかってしまった。
きっと、この娘も、自分に対してジェラシーを抱いているんだと。
じゃあ、同じだ。
きっと、今の自分と同じことを考えている。
なら、上手くやっていけそうじゃないか。
エレン「宜しくね。私はエレンよ。」
差し出した手を、ユリアも握り返す。
ユリア「宜しく、エレン。私はユリアよ。ユリアでいいわ。」
自分には無いところを、欠けていた所を補い合おう。
その上で、また・・・
07/14/2001