鉢合わせのSaGa


エレン「・・・ちょっと、あたしもお腹空いたなぁ・・・」

ユリア「で、レッドは今何してるの?」
レッド「ん?ああ、ちょっと連れの連中と旅って言うか・・・なんて言うか・・・
    まあ、目的あって一緒に行動してるんだよ。」
ユリア「連れ?女の人?」
レッド「ああ・・・男がもう一人、女が二人、ワケわからんスライム一匹。」
ユリア「ふーん・・・女の人と一緒なんだぁ・・・」
ユリアが少し唇をとんがらす。
仕草は、全くレッドの記憶にあるものと変わっていない。
レッド「所で、お前は何でこんなところで働いてるんだ?」
ユリア「ん?ええ・・・ちょっとね・・・」
ユリアの表情が物憂げなものになる。
ユリア「キグナスは、もう無くなっちゃったのよ・・・」
レッド「え!?」
ユリア「うん・・・レッドがキグナスを降りてから、少ししてね・・・」
レッド「何か、あったのか?」
ユリア「ううん、別に大した事じゃないの。ちょっと、キグナスが整備不良で、
    お偉方が乗った時に運悪く事故を起こしそうになってね・・・」
レッド「そうか・・・」

よく考えると、レッドがキグナスを降りて結構経つ。
エレンと知り合ってそろそろ半年、いや、もう少し過ぎているかもしれない。
ならば、キグナスを降りて1年以上。
降りる時に、船長だったホークは「何時でも会いに来い。俺もユリアも待ってる
からな」とは言っていたが、エレンと共に行動しているうちに、何時しか忘れて
いたのだった。
そういえば、エレンと始めてであった時、奢らされて、お金を使ってしまった。
その時のお金は、ユリアにプレゼントをするためのものだったはずだ。
しかし、ああ、何と言う事だろう。
ここのところエレンばかりに気を取られ、すっかりユリアのことを忘れていた。
レッド「・・・?」
この時、レッドは不意に違和感を覚えた。
ユリア「どうしたの?」
レッド「いや、何でも無いさ・・・」
どうして恋していたはずのユリアのことをそんなに忘れていたのか、 レッドはこの時は差ほど深く考えていなかった。

エレンが店に入ると、彼女は目の前にあるものを見て、 全身が激しい稲妻に打たれたような感覚を味わう事になった。
レッドが、ユリアと話している時の表情を見たからだ。
自分には見せた事の無い、恥ずかしげな表情。
エレン「え・・・?」
レッドに声をかけようとしていた口が開きかけて戻らない。
一目でわかった。
エレン「あの人が、レッドが好きな人なんだ・・・」
嘗て感じた事の無いような強烈な眩暈に襲われる。
エレン「あっ・・・」
足がよろけた拍子に、近くのテーブルにぶつかってしまう。
男「うぉ!?」
テーブルは音を立ててひっくり返った。
レッドとユリアもその様子に気がつく。
レッド「エレン!?」
エレンは立ち上がろうとしない。
男「ったく、人の休暇中に・・・」
不満そうにエレンの方を男が一瞥する。
が、エレンの姿を見て、男の表情は一変したのだった。
07/14/2001