縁のSaGa


これまで、ミューズは一体何人の人間と出会い、別れてきたのだろう、と考えてみた。
・・・数えられないほどの人間に会ってはいるが、印象深い人間と言うのは それほど多いわけではない。シャールは幼少の頃よりの付き合いだが、 それを超越したような絆、縁を感じるもの達と、ここのところ立て続けに 逢っているような気がする。
全ては、彼女との・・・アセルスとの出会いが始まりだったのかもしれない。
いや、きっとそうだった。
彼女とであった時、今まで感じなかった「運命」的な要素を感じた。
それが・・・
ゾズマ「アセルス・・・やっぱりね・・・」
そして、又目の前に不思議な縁を感じる男がいる。
ミューズ「お知り合いなのですか?」
ゾズマ「うん、ちょっとね。」
ミューズ「では、貴方はアセルスさんと同じ世界の出身なのですね?」
ゾズマ「そう言う事になるね。まあ、他にも色々と共通点はあるけどね。
    取り敢えずは、そう言う事だよ。」
ゾズマはこれ以上問う事を本能的に止めた。
問いただせばキリが無い。
それ以上に・・・彼の、プライドに触った。
ゾズマ「ありがとう、色々教えてくれて。」
ミューズ「いえ、でも、似たような境遇の方がいて私も安心しましたわ。」
ゾズマ「向こうの部屋に、エミリアと言う変な女の人もいるから、会いに言っては
   どうだい?」
ミューズ「はい、喜んで。」
ミューズが去っていく姿を遠巻きに眺める。
ゾズマ「・・・妖魔が、どれほどのものだって言うんだい?
    ただの、井の中の蛙じゃないか・・・」
自嘲と、ほんの少しの、喜悦を込めて。

レッドの表情に色がついてきたのは、マンハッタンに渡って数日の後のことだ。
レッド「・・・エレン・・・」
とある有名なアクセサリーショップに足を運ぶと、エレンとミリアムは数時間も
半日もかけて品定めをしているのだ。
待たされる男にとっては苦痛以外の何者でもない。
エレン「何よ?女のコに散々心配かけさせてた男は今日くらい『あたし』達の
    我侭くらい聞いてもいいじゃんよ!」
エレンは最近ミリアムの影響を受けているのか、口調がいくらか蓮っ葉になっている。 一人称も「私」から『あたし』へと変わっている。
それに、妙に色気づいたようだ。
エレン「ねえ、ミリアムさん、これなんか似合うかなぁ?」
ミリアム「エレンは何か赤っぽいイメージよりももっと落ちついた色のほうが
     似合うと思うね。」
エレン「そうかなぁ・・・」
たった指輪一つ買うのにも、色合いやその他、宝石一つの大きさや形全て吟味し、
選ぶ。
以前まではあまり考えられなかった事だ。
レッド「なんで最近突然エレンはこうなったんだ?」
店の外でハナクソをほじりながら、レッドは空を眺めてそういった。
原因は、自分だとは思わずに。
07/14/2001