フィーリングのSaGa


ミューズ「あ、ごめんなさい」
廊下をぼけっと歩いていたら、前からきた何かにぶつかったようだ。
ゾズマ「ああ、僕の方こそ、ちょっと考え事をしていてね。」
ミューズ「大丈夫ですか?」
どうやらこの娘もガーディアンの一員らしい。
しかし、妙にとっぽいように見える。
戦力的なものは・・・いや、見た目では判断できないものがあった。
振る舞いに隙だらけのように見えるが、実はその隙を見せて 反撃できる態勢が整っている。ゾズマとて、その目は節穴ではない。
ゾズマ「へぇ・・・良家のお嬢様のように見えるけど、それなりには闘えるんだ」
ミューズ「はい、鍛えてますから。」
つかみ所の無い女性だ。
単に、とっぽいだけのようかと思いきや、そうでないような雰囲気も感じる。
ゾズマ「最近、女運がいいのか悪いのか・・・」
立て続けに女性に面くらいばっかりだ。
ミューズ「どうかしたんですか?」
ゾズマ「いや、何でも無いよ。済まなかったね。」
ぼんぼん、と裾を払ってその場を立ち去ろうとしたゾズマに、ミューズは声をかける。
ミューズ「あ、あの。」
ゾズマ「なんだい?」
ミューズ「あなた・・・人間じゃないんですね・・・」
ゾズマ「へぇ、じゃあ、僕はどう見えるって言うの?」
これだ。
油断なら無い雰囲気は、こう言う所からも感じられるのだろう。
感受性が、高すぎる。
ミューズ「ええ、ちょっとした知り合いに貴方みたいに何だかよく分からない
     のですけど違う雰囲気を持った…似てるんですけど、どっか違う
     っていうか・・・」
ぴく、とゾズマの肩が動く。
ゾズマ「知り合い?どう言う人なの?」
ミューズ「ええ、少しだけ一緒に冒険したんですけど・・・
     ここじゃない世界でですけどね。」
どうやら、この娘も自分達と立場は似たようなものらしい。
ここではない世界から来た者。
ミューズ「で、私がこの世界に来る前にいた世界の前の私が元々住んでいた
     世界で、その人が私の知ってるこの三つの世界の何処とも違う別な
     世界から来たみたいで・・・」
ミューズはとっぽくはあるが、知能は高い。状況を正しく分析する能力も、
誰にも劣るところは無い。
ゾズマ「え?ちょっと待って、話が見えないんだけど。」
ゾズマにとってはしかし、あまりに話が飛躍しすぎていた。
彼の頭の中ではこの世界は「正体不明のタンザーみたいな場所」程度の認識でしか
無いのだから。
世界が二つも三つもあるわけが無いのだ。リージョンとは違うのだろうか?
ゾズマ「えっと・・・世界って、リージョンじゃなくて?」
ミューズ「リージョン?ああ、私のその知り合いの方も同じような事をおっしゃ
     ってましたわ。」
どうやら、ゾズマの理解を越える出来事が展開されていることに間違い無いようだ。
07/13/2001