それにしても、何と盗賊の類が多い事か。 ミューズは近くのはずの神殿まで辿り着くのに4回は強盗に襲われた。 とはいえ、ミューズが軽くいなすだけで彼等は一目散にお宝を置いて逃げていく。 ミューズ「あらあら。勿体無い・・・今度会ったら返して差し上げないと」 会うわけがない。
カイ「傷を治してあげましょ・・・いや、全然大丈夫のようですね・・・」 街と同じように、神殿の中にも多くの人間外が存在していた。 彼女がこの神殿で始めて見た人間が、カイだったのであるから。 カイは、非常に可愛い神官だった。 美人のミューズと並ぶと、二人揃って景観である。 ミューズ「あなたがカイさんですか?」 カイ「はい、そうですけど・・・」 この時、ミューズは何を話すべきか全く考えになかったので取り敢えず、
こんな事を言ってみた。 ミューズ「あの、所で、先程男の人達がこんなものをいっぱい落としていったの ですけど、預かっていて貰えます?」 金銀財宝、選り取りみどり。 カイは目を丸めた。 カイ「これって・・・?」 ミューズ「はい、街から出てこちらに来るまでにいろいろな方々が落としていった のですけど・・・」 カイの記憶が確かなら、この辺りは結構な強姦地帯である。 彼女ほどの美しさで、からまれなかったはずがない。 カイ「どれくらいの方々ですか?」 ミューズ「はい、20ほど会いましたけど・・・」 20人の腕利きのごろつきを全く意に介していない。 彼女は襲われた自覚などないようだ。 ミューズ「その方たちに、返さないと・・・こんな、大事なものを・・・」 カイは考えた。 こいつは、使える。 カイ「いや、返す必要なんてないですよ!きっと、プレゼントですよ、これ。」 ミューズ「でも、こんなに高価なものを・・・」 カイ「いいんですよ、多分金持ちの道楽です、気にしないことにしましょう!」 これは大事な軍資金だ。 カイ「所で・・・私のお願いを、一つ聞いて頂けますか?」 ミューズ「はい?」 カイ「あの・・・ちょっと、この世界の人々が困ってる事があるんですけど・・・ 少し、話し難い事で・・・」 ミューズ「何ですか?」 ここまでこうだと、かえってやりづらい。 仕方なく、カイは自ら話すしかなかった。 カイ「ガーディアンに、入ってみる気、ない?」
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