確か、滝の流れに身を委ねて、それから・・・
ミューズが気が付くと、そこは全く見た事のない世界。 確か、巨人の里の滝の流れに身をゆだねれば、ウロの近くにいるはずである。 しかし・・・ ミューズ「・・・ここは、何処なんでしょう?」 ウロは、砂漠の近くにある街である。 であるからには、砂漠に近い植生で無くてはいけない。 しかし、目の前に広がるそれは・・・ 明かに、温帯性、しかも程ほどの雨量が多くなくてはいけない植生。 蒸し暑さも、肌で感じる。 つまり、明かに異なった地である。 ミューズ「はて・・・まあ、取り敢えず近くに街が見えるから、あちらまで 行ってみましょうか。」
街の作りは、彼女の知ってる土地のどれとも違っていた。 完全なレンガ造り。 ミューズ「あらあら・・・」 驚いた事に、街を歩いているのは人間の姿だけではなかった。 何処から見ても虎なのに、二足歩行でしかも流暢に言葉を話す。 目も、ジェントルだ。 虎「お嬢さん、この辺りでは始めてみる顔ですけど、どちらからおこしなさった んです?」 優しい物腰と裏腹に、話す時に見える2本の牙はかなりコワイ。 ミューズ「ええ、ちょっと旅をしていたのですが、迷ってしまって。」 しかし、ミューズの性格はこれである。 意にも介していない。 虎「そうですか。旅と言えば・・・秘宝でも集めているのですか?」 ミューズ「秘宝?ええ、一応そうなりますが・・・」 普通の状況で考えるとココで秘宝と言う単語が出てくるに辺り面食らうもの ではあるが、そこはミューズだ。 仕方がない。 虎「・・・お嬢さん、若くて美しいあなたまでも、秘宝を集める世の中なんです ね・・・」 虎が何やら物憂げな表情を見せる。 虎「取り敢えず、秘宝探しをしているなら、この近くのカイと言う可愛い神官 がいる神殿まで行ってみたらどうです。 彼女なら何か知ってると思いますけど。 彼女の神殿は、ココから西にありますよ。」 ミューズ「あら、ご親切に。ありがとうございますわ。」 それでは、とにこやかに手を振って去っていくミューズの姿を見て、虎は何だか妙 に首を傾げたくなる自分に、気がついた。
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