ニューロードのSaGa


エレノア一行がニューロードに入り始めた時点で、アセルスとクローディアは
タルミッタにいた。
クロディ「ここも、平和になったのですね・・・」
アセルス「君の言っていたハルーンの話かい?水竜に生贄をささげるって奴?」
クロディ「ええ・・・」
以前にアルベルトやアイシャ達と冒険していた時の話を、 クローディアはここに来る前に少し語っていたのだ。
アセルス「平和に、か・・・」
クロディ「・・・ニューロードは、続いています。
    時間がありません、先を急ぎましょう。」

つまりは、現在の時点でアイシャとクローディアは先行している。
そう言う事だ。
ニューロードの終点・・・逆にいえば始点はエスタミルより伸びる。
エレノア「・・・」
エレノアは地図を見て閉口していた。
何分、長い。
長いのだ。
エレノア「こんだけ歩けっていうの・・・?」
アニー「三日かかってもつきそうに無いね・・・」
シフ「まあ、前はバーバラの馬車があったからよかったものの・・・
   歩くのは、骨だね。」
ネメシス「シフさんは以前にウエストエンドへいった事があるのですか?」
シフ「まあな・・・色々あったけどな。」
経験者のシフが言うのだ。
ニューロードは長い。
シフ「ホントのニューロードはノースポイントから伸びてるんだけど、クジャラー
   ト大陸での始点はやっぱりエスタミルだな。」
はぁ、と一路の長さを思い、溜息をつきながらも先を急ごうとする一行だった。

エルマン「おや、アレは・・・」
マネージャーのエルマンの目に留まったのは、二人の女性の姿だった。
バーバラ「クローディアじゃないか!」
ニューロードを行く馬車の中から、バーバラもその姿を見とめる。
向こうも、見覚えのある馬車の姿に気がついたようだ。
ナタリー「馬車、止めるの?」
バーバラ「当たり前だよ!」
歌い手のナタリーを一喝して、バーバラは馬車を降り、 冒険仲間の元へと駆け寄った。久々の再会である。
バーバラ「おお、クローディア。元気にしてたかい?」
世界最高とも評される踊り子のバーバラは、軽くステップを踏んで見せる。
クローディアの口元に笑みがこぼれる。
クロディ「久しぶりですね、バーバラさん。」
バーバラ「ああ、あれ以来あたしのほうも踊り子業に今一身が入らなくてね。
     またみんなと冒険しようと・・・
     おっと、エルマンの耳に入ったらコトだわ。」
ヒヒッ、と軽快に笑った後、アセルスの方を一瞥する。
バーバラ「彼女は?」
クロディ「アセルスという仲間ですよ。」
バーバラ「へぇ・・・なんだか、アンタとは反りの会わなそうなギャルっぽい
     奴だけどね・・・
     髪の色なんか、目が醒めるくらいのグリーンじゃないか。」
クロディ「いえ?彼女はとても気品のいい女性ですよ・。」
ふーん、とバーバラは疑い深げにアセルスを凝視する。
アセルスも気が付いたのか、バーバラの方に歩み寄る。
アセルス「あなたがクローディアの昔の仲間のバーバラ?」
バーバラ「ええ、そうだよ。」
アセルス「・・・流石だね、隙が無い。」
この言葉の裏に、バーバラは何か底知れない感情を抱いた。
恐怖でも、恍惚でも、畏敬でもない、何かもっと超越したもの。
人には、纏う事の敵わない、もっと洗練された、オーラ。
そういうべきが最もであろう。
そんな、感じを。
バーバラ「あなた・・・きっと芸能活動でも売れるわよ?」
精一杯、冗談を言うだけがやっとだった。
アセルス「考えてみるよ。」
実際に数言言葉を交わすだけで、バーバラはクローディアがどうしてこの小娘と
いっしょに行動しているか、完全に理解するに至った。
バーバラ「・・・ニューロードは長いよ。乗せていこうか?」
クロディ「いいえ、遠慮します。あなたも、仕事があるのでしょう?」
バーバラ「けど・・・」
クロディ「エルマンさんが、さっきから怖い顔でこちらを見てますけど?」
げっ、と思わずバーバラは声を上げてしまった。
アセルス「私達は大丈夫だから、心配しないでもいいよ。」
妙な覇気と威圧感、絶対的な信憑性。
バーバラ「あ、ああ・・・気をつけるんだよ。ここから先、モンスターが
     多く出るからね・・・」
馬車に戻った後、バーバラはナタリーに、こっそりと呟いた。
バーバラ「ナタリー・・・タルミッタに着いたら、あたしは彼女達の跡を追うから
     ね。エルマンをどっかにほおりだすよ!」
07/07/2001