富豪のSaGa


マミ「すごぉ・・・」
フルブライトは、マミを全面的にバックアップする事を誓ってくれた。
ブライト「エスパーなどと言う古文書にしか載っていない架空だと思っていた
     存在が目の前にいるのだ。
     それも、全く何の為に存在していたのかわからないような家宝の
     腕輪の偉大な力も見せてくれた。
     我々フルブライト商会は君の『秘宝』探しに全面的に協力するよ。」
フルブライト商会といえば、聖王の資金の援助を陰ながら行っていた古くからの
世界最高の財団である。
そのバックアップたるや、この世界にいて出来ない事は無いほどである。
現に、マミはその行動の足を全てフルブライトの誇る最新の船や、新開発された
車によって行っていた。
遥かな効率のよさである。
トーマス「・・・」
とはいえ、トーマスの心中は複雑であった。
何しろ、あのフルブライト商会がバックについて資金援助をするなど、想像を
絶する出来事なのだ。
おいそれと信じられる事ではない。
それに・・・
マミ「あたしは、まだあなたを許したわけじゃないからね」
鏡の件は未だにご立腹らしく、所在無さに彼自身困惑しているのだ。
結果的にその鏡の一件でこうなったとはいえ、マミへの負い目は拭い去れない。
サラ「トーマスさん・・・」
サラも彼の心境を察してか、心配そうな目をして彼の元へよって来る。
トーマス「大丈夫だよ、サラ。僕達は、彼女に従う義務があるからね・・・」
サラ「鏡の件?」
トーマス「いや・・・フルブライト商会の件だよ。」

マミら一行が目指している地は、吸血鬼伯爵レオニードが住む、北国ポドールイ。
フルブライトが、そこに行けば新たな道が開けるかもしれない、と言ったのだ。
マミ「・・・寒いね・・・」
当たり前だ。雪が降っている。
サラ「でも、街自体は温かい感じ・・・」
確かに、雪が降っていて肌は寒気を感じるが、街の雰囲気はむしろ暖かいものが
あった。街灯一つをとっても、それが感じられる。
人々の笑顔も、暖かい。
トーマス「取り敢えず、酒でも飲んで体を温めるか・・・」
マミ「あたしはお酒は飲まないよ」
サラ「トーマスさんだけですね」
トーマス「・・・未成年は、ミルクかジュースだな・・・」
酒場の中は、暖炉が効いていて温かい。
トーマス「酒で体を温める必要もないみたいだね・・・」
しかし、よく見ると今宵の酒場には変な点が一つあった。
女性しかいないのだ。しかも、ほとんどが美女と言ったレベルの。
サラ「どうかしたんでしょうか・・・」
トーマスが一人に話しかける。
女「今日は、伯爵様が私達の中から一人、選んでくれるのです。
  永遠の美を保てる人・・・」
なるほど、とトーマスは納得した。
以前にここに着た時に少し話を聞いた程度だったが、今日はその日らしい。
サラも気が付いたらしく、トーマスに目配せをする。
サラ「吸血鬼、ですか・・・」
マミ「・・・そんなに、永遠がいいのかしらね・・・」
とはいえ、予定を変更したくも無い。
むしろ、好都合かもしれなかった。
トーマス「好都合だ・・・このまま、伯爵のもとに参上するぞ」
マミ「いいの?」
サラ「大丈夫です・・・別件ですし、あの方は紳士ですから。」
そうは言うものの、一抹の不安を隠せないマミであった。
07/07/2001