魔力のSaGa


ブライト「おや、トーマス君。」
急な来訪に少しも戸惑うことなく、フルブライト14世は客人を迎えた。
トーマス「申し訳ありません、フルブライト様。」
ブライト「どうしたのだ?突然。」
トーマス「実は、先日預けた鏡の件で・・・」
ブライト「ああ、アレか。鑑定士にも見せたがイマイチまだよく分からなくてな。
     もう少し時間がかかりそうだ。」
トーマス「いえ・・・実は、急な話で返していただきたいのです。」
ブライト「ほう、それは何故だ?」
後方から、昨日再び意識を取り戻したマミがトーマスをより分けて話に入りこむ。
マミ「アレはあたしのものです。この人が勝手にあなたに貸しただけの話であり
   あたしには関係ありません。返してください。」
ブライト「ほう・・・」
マミの剣幕に少しもたじろぐことなく、フルブライトは流石に冷静に対処した。
ブライト「では、何故君はそんなにあの鏡を返して欲しがるのだ?
     私のほうがアレをよりよく扱えるかもしれないのだぞ?」
マミ「そんなわけは無い。あなたはあの鏡がどんな物なのか分かっていない。
   それに、アレはあたしの父の形見でもあります。」
ブライト「・・・では、君はあの鏡がなんなのかはっきり分かっているのか?」
マミ「少なくともあなたよりは遥かに高い次元で。」
少女と、大企業の頂点に立つ男と数秒間、無言のにらみ合いが続いた。
折れたのは、頂点。
ブライト「・・・よかろう、そこまで言うのなら、返してあげよう。 
     だが、一つ条件がある。
     実は、わが家に代々伝わる家宝の一つに『ウィルガード』という
     腕輪があるのだ。
     たいした細工も無い、見た目も芸術とは程遠いそれがどうして
     由緒あるフルブライト家の家宝になっているのか・・・
     私には、どうもあの鏡と似た響きを感じるのだが、それを君に
     見てもらいたい。」
マミ「・・・見せてもらいます・・・」
マミはこの時、ようやくここに近づいていた時から感じていた共鳴の正体に
思い当たった。
父は、秘宝同士は共鳴すると言っていた。
ならば、この共鳴は、フルブライトの言うウィルガードは・・・
マミ「秘宝が、こんな所にも・・・」

触った瞬間に、マミの体に衝撃が走る。
マミ「これはっ!?」
体、というよりは、むしろ精神に働きかける力・・・
マミ「腕輪だよね・・・コレをはめてみると・・・?」
マミが腕輪を嵌めてみると、次の瞬間、四人は目を疑った。
ブライト「これはっ!?」
突如腕輪が光り輝き始める。
サラ「腕輪から、光の盾が・・・!」
光が収束し、マミの右半身を覆うかのような大きさの光の盾が現れていた。
ブライト「何故だ…?私がつけた時はこのような物は現れなかった!」
マミ「・・・だから、『ウィル・ガード』なのよ・・・っ!」
マミの表情が理解の物へと変わる。
サラ「何かわかったの?」
マミ「コレは、つけた人の精神力できっと作用したりするのよ!」
マミは腕からそれを外し、サラにもはめてみた。
トーマス「あ・・・」
サラが嵌めると、マミが嵌めていた時のような盾は現れる事は無く、微かに
腕輪が淡く光を帯びたに過ぎなかった。
ブライト「・・・この中で、最も魔力の高いサラですら、この程度だというのに、
     君は何故あのような盾を出せたのだ!?
     精神の盾ではないのか!?」
フルブライトはいつもは決して見せる事の無い熱っぽい口調で話し始めた。
マミ「・・・コレで、あたしの考えは正しい事が判明した・・・
   確かに、サラさんは魔力に関しては高いものを感じる。
   けれど、魔力を使いこなせる精神力が無い。意思力も無い。
   だから、アレくらいの力しか引き出せなかったのよ。」
トーマス「では、君は・・・君は一体何なのだ?」
トーマスが恐れを抱いたような表情で、マミに話しかける。
マミ「・・・あたしは、エスパーだもの・・・」
07/06/2001