新しき神のSaGa


麗しの都、アバロン。
今は、その面影は無い。

ミレイユ「なんて言う事・・・!」
見るまもなくあの景観が破壊されていく。
気品溢れる街道は無残な瓦礫に埋もれ、芳しい建物の数々は 見るに絶えない物体にしか目には映らない。
緑は焼かれ、青空は灰色に塗られ、透明な川の流れはどす黒く濁っていて底が見えない。
あの城は、皇帝陛下の君臨していたあの玉座は、その全ては、タダの廃墟。
虫が、野獣が、モンスターが巣くう地。
いつの間に、こうなってしまったのか。
オアイーブの見せた映像は、その悲惨さを物語っていた。
オアイブ「陛下・・・しかし、この映像は今のアバロンのものではありません・・・」
オアイーブが、意味深げにそう言う。
スカイア「今のものじゃない?」
オアイブ「そうです。しかし、近い未来に起こりえる真実の姿。」
ミレイユ「近い未来に・・・」
オアイブ「そうです。今の世界は嘗てのように、大陸は麻のように乱れ、 戦乱が絶えず、力こそ全て・・・そんな昔の世界に戻りかけています。
     カンバーランドや武装商船団などが一時的に協力を見せていますが、 
     それはかりそめの物であり、いずれ争いが始まります。
     ・・・それも全て、一人の男の狂気が生む物・・・」
スカイア「一人の男?」
オアイブ「そう・・・アポロンと言う、野心に満ちた男の、野望です。」

ヴィーナス「・・・このごろ、不審な動きが目立ってきているわね・・・」
近未来的な、高い壁に覆われた街の最も高い位置に座する、この世の全ての美を 終結させたような姿を現世にとどめている者の名は、ヴィーナスと言った。
この街、メガロポリスの支配者である。
ヴィーナス「アポロンめ・・・一体、何を考えているのだ?
      私達『新しき神』は、世界秩序の維持に努めるのが役割のはず。
      彼は、遠き世界で何をしようとしているのだ・・・?」
ヴィーナスは身を起こし、傍らにある美麗な盾を手に取る。
その盾は、鏡のように、いや、鏡以上に映った物をより克明に、美しく写した。
ヴィーナス「イージスの盾・・・秘宝が、何か私達に訴えている気がする・・・」
僅かに、空間が鳴いている気が、ヴィーナスにはした。
ヴィーナス「・・・近い未来・・・か・・・」
07/06/2001