女魔術士のSaGa


オアイブ「・・・ミレイユ陛下ですね・・・?」
ミレイユ「ええ。やっぱり気が付いたわね。」
オアイブ「それは、皇帝陛下ですから・・・」
忘れらるる都についた二人は、昔訪れた家と同じ家を再び訪ねた。
昔とは違った目的で。
オアイブ「・・・?陛下?」
オアイーブは、確かにミレイユの姿を見て愕然とした。
あまりに露骨な態度だったので。
ミレイユ「どうしたの、オアイーブ。あなたがそんなに動揺すること
     なんて、このあたしにはないわよ。」
オアイブ「・・・陛下のお姿を見て、私は一瞬確かに命の灯火が
     消える思いに捕らわれました・・・」
オアイーブの出した声は悲愴の声。
スカイア「どういうことなんです?」
スカイアも懸念を隠せない。
ミレイユ「・・・多分、あなたはあたしが聞きたいことに答えられない
     のでしょうね・・・いや、きっと同じ疑問を持ったのよ。」
オアイブ「陛下・・・」
ミレイユ「どうしてあたしの肉体は七英雄と戦ったあの時から
     全く衰えもせず、何時までも若さを保っていられるのか。
     あたしは皇帝であることを放棄した。でも、あたしの中の
     皇帝の力や意志は、まだ消えていない。
     でも、それが肉体の衰えを止めているなんて事は、あり得る
     訳がない・・・
     多分、それは・・・」
オアイブ「陛下!」
オアイーブがミレイユの手を強く握る。
ミレイユ「オアイーブ?」
オアイブ「陛下・・・私も、陛下のその昔見た姿と全く変わらない
     姿に愕然としました。いくら皇帝継承し、歴代皇帝の
     力や意志、そして命を受け継いでいても・・・
     陛下は全く別の次元の存在。
     あなたの考えていることは察することが出来ます。
     でも、それ故に、七英雄達は・・・」
ミレイユ「・・・そうね・・・オアイーブ。あなたの言いたいことは
     きっとあたしが聞きたかったことなのね。
     あたしは七英雄にはならない。けど、彼らを理解できる。」
スカイア「陛下?」
ミレイユ「スカイア。あたしは大丈夫。七英雄達は道を踏み外した。
     けれど、あたしは外さない。」
オアイブ「そうです、陛下。きっと、世界はまだ陛下を必要と
     しているのです・・・」
オアイーブが、机の上にある水晶玉に手をかける。
水晶玉は持ち主の手に渡ると瞬く間に閃光を放ちはじめた。
そして、閃光の中に見えたヴィジョンは・・・
スカイア「・・・ここは、アバロン?」
ミレイユ「アバロンが・・・」
共和国となり解体した帝国。
しかし、アバロンはその中、中央国家となって各国の中では未だ一段
高い存在であった・・・ハズだった。
スカイア「どうして・・・」
オアイブ「・・・私は、陛下が今日ここに来ることを知っていました。
     そして、アバロンがどうなっているかも・・・」
スカイア「だったらどうしてっ!」
ミレイユ「・・・」
オアイブ「陛下。イーリス族の勇敢な戦士。お二人に、少し見せたい
     ものがあります。こちらへ・・・」
03/12/2001