種族のSaGa


ミレイユ「・・・ここね・・・」
スカイア「あの・・・ところで、陛下・・・」
ミレイユ「・・・まだ、あたしを陛下と呼んでくれる人がいるなんてね。」
スカイア「・・・申し訳ありません・・・」
ミレイユ「ううん、でも、良いのよ。今のあたしは、そう呼ばれた方が
     自分を持っていられるから・・・」

ミレイユは、チカパ山を訪れた。
女魔術士オアイーブが住む都。そして、遙か昔、七英雄達と時を同じく
して生きていた、古代人達の都・・・
そこへ行くためには、チカパ山を越えなくてはいけない。
詩人の楽器を奏で、イーリスたちの住みかへと足を踏み入れると、
数十年も昔に、共に七英雄に立ち向かった仲間の一人、スカイアが
自分と同じく変わらぬ姿でいたのだった。
スカイア「私たちイーリスは、遙に人間よりも寿命が長いのです。
     それに、綺麗な空気のある場所にしか、生息しないので・・・」
話によると、ネレイドやサラマンダーも同じく長寿であるという。
ミレイユ「・・・人間は、みんな老いて死んでしまったわ・・・」
スカイア「でも、私は、陛下のことを忘れてはいません・・・」
旅に出た仲間達は、皆人間だった。人間以外の種族達は元の
暮らしに戻り、ささやかに暮らしているという。
スカイア「今の陛下は、少し気弱になってます。私が一緒についていきます
     から、少しは気を持ち直して下さい。」
そう言うわけで、イーリスのスカイアがミレイユと共に下山をした
訳である。

ミレイユ「ねえ、スカイア。」
スカイア「はい、何でしょうか、陛下。」
ミレイユ「どうして、あたしはあの当時からの姿のまま、こうやって
     生きているのかしら・・・」
スカイア「さあ・・・でも、きっとそれには何かの意味があるはずです。
     とりあえずは、あまり気にしない方がいいですよ。
     年取ったよぼよぼより若くて美しい陛下の方が私は
     いいですから!」
ミレイユ「・・・ありがとう、スカイア。」
ミレイユの表情に、僅かながらの笑顔が見える。
自分でも気が付かない内に、やはり仲間との絆を感じていたのだ。
スカイア「ほら、もうすぐですよ!」
この時、彼女たちはまだ、アバロンの危機を知らない。
03/11/2001