歴史上の初代皇帝のSaGa


レオン「ジェラール!」
ジェラ「はいっ!父上!」
時は、アバロンの暦より1000年。
アバロン帝国は過去に築き上げた領土や栄光を失い、一つの小さな
国にと成り下がっていた。
そう。この時、まだ1000年。
されど、1000年。

発端は、オアイーブとか言う女魔術士・・・いや、占い師と言うべきか。
彼女がレオンに行った一言。
イーブ「レオン様。近い内に、このアバロンという小さな帝国だけではなく
    もっと大きな世界を巻き込んだ、大争乱が訪れるでしょう。
    その時、あなた達は大きな事実を知る。
    その昔、七英雄達が存在していた頃・・・
    そんな頃より更に昔の、神々が世界を形作っていた頃
    の、忌まわしき世界が邂逅するでしょう。」
レオンはこの当時、この女魔術士の言った言葉を真に受けなかった。
レオン「ほう。確かに今のアバロンは小さな帝国だ。
    しかし、ジェラールやその次の代、また次の代では
    全盛期の帝国を取り戻してみせるわ。」
イーブ「いいえ。アバロンは世界に比べれば小さき物。
    如何にあなた達はその中でしか生きていないかを、そのうち知るで
    しょう・・・」
レオンはこの時、正直この女魔術士の言うことを真に受けなかった、
と言えば嘘になるかも知れない。
しかし、彼は真に受けなかった。
受けてはいけなかった。何故なら、彼は、唯一のアバロン帝国の
皇帝だから――
彼の精神が、彼女を受け入れるのを拒んだ。
レオン「・・・悪いが、あなたの話は聞き入れられない。
    帰ってくれ。」
イーブ「・・・私は、街の宿に停泊しています・・・何かあったら、
    すぐに申し立てて下さい・・・」
かの女魔術師を追い払った後、レオンは息子二人を呼びつけた。
ヴィク「何でしょう、父上。」
兄のヴィクトールは、弟のジェラールに比べ、勇ましく、人望も
あったが、如何せん思慮深さに欠けていた。
ジェラ「何でしょうか、父上。」
弟のジェラールは兄のヴィクトールに比べ、体も弱く、戦士達から
の人望は厚いとは言えなかったが、兄の欠点の思慮深さに長け、
豊富な知識を要し、術を得意とした。
レオン「うむ・・・実はな、先日私とジェラールが封印したかの地について
    だが・・・気になることがあってな・・・」
実は、これは嘘だ。
レオンの口上に過ぎない。ホントの真意は、話すには躊躇われた。
レオン「ヴィクトール、少々見に行ってくれまいか?」
ヴィク「ジェラールは?」
レオン「ジェラールは、ヴィクトールと共に行け。」
ジェラ「父上は?」
レオン「私か?私は、少し、ソーモンに用がある。」
ジェラ「ソーモン?あのクジンシーを祀っている街ですか?」
レオン「ああ。なぜだか、胸騒ぎがするのだ。
    何が原因かは分からないが・・・念のためだ。お前達にも
    原因究明に当たって欲しい。」
ヴィク「・・・わかりました、父上。」
レオンの真意は、二人には気が付かれなかったようだ。
そう。何故かはわからないが、レオンには確信があった。
それは、近い内に・・・
03/10/2001