都会SaGa


アニー「へぇ・・・結構ちゃんとした町並みじゃない。」
シフ「これが、あたし達の世界で一番の大都市、クリスタルシティさ。」
巨人の里から降りたのは、エレノア、アニー、ネメシス、グスタフ、
プルミエール、そしてこの世界をよく知るシフだった。
巨人の里があるのは、ウロの山奥深く。
そこから真っ直ぐに南下すると、巨大な湖を抱える世界一の都市、
クリスタルシティがある。
シフ「この辺は、ローザリアって言う国なんだけど・・・」
しかし、その巨大な都市の雑踏の中に、所々に兵士の姿が見られる。
プル「・・・兵士の数が多いわね・・・」
ネメシス「人々の中に、不安の闇が見えます・・・」
シフ「ああ。やっぱり気が付いたか。あたしが2ヶ月くらい前にここに
   来た時よりも更に増えてる。」
エレノア「戦争でもするつもりなの?」
エレノアが周りを気にせず、あっさりとそんなことを言う。
街の周りの連中はぎょっとした眼でエレノアの方を皆睨み付ける。
人々は皆、戦争に対する不安を抱いている。
常に戦火に身を置くエレノアに比べ、この世界の者達はあまりに戦争という
ものをしらなすぎた。
シフ「バッ・・・」
当のエレノアは飄々としている。
エレノア「何か不味いことでも言った?」
時期に、兵士達が彼女たちを取り囲む。
なにぶん、グスタフ以外は皆美女揃いだ。唯一の男グスタフも
無愛想ではあるが、気品が漂う顔立ちをしている。
目立たないわけがない。
兵士「お前らか、戦争などと言うことを言っているのは?」
エレノア「そうだけど?事実じゃないの?」
兵士「そんな事実など無い。不吉な噂を流したものは罪に値するぞ。」
エレノア「そんなことするんだったらそれこそ戦争だって事を裏付けたり
     するんじゃないの?事実って言うモノを人は徹底的に
     隠そうとするからね。反感買うようなやり過ぎはかえって
     逆効果だってわかんない?」
兵士「我々がそんな事実はないと言ったら無いのだ!」
少し、兵士の語調が強まる。
エレノア「へぇ・・・じゃあ、もしホントに戦争になったら、兵士の
     みなさんはこの国民達にどう責任とるのかしら?
     嘘つくのはいけないことだって、小さい頃ママに習わなかっ
     たの?」
兵士「黙れ・・・一介の町人の分際で!我々兵士に楯突くなど!」
兵士が激昂し、武器を構える。
エレノア「やれやれ。本性を現したか。ねぇ、シフ。この国って、そんなに
     兵士が偉かったの?」
シフ「いや、兵士は権限は与えられていない。口実はいくらでも作れる
   から、処罰という形で暴力を合法的に振るうことは可能だけどね。」
エレノア「じゃあ、向こうを伸しちゃっても良いの?」
シフ「ああ・・・構わないんじゃない?だって、その一介の町人に負ける
   兵士の方が不甲斐ないんだからねっ!」
言うが早いか、シフの拳がうなりをあげ、兵士の一人を叩き伏せる。
兵士「きさまっ!」
プル「良いんだったら、私も・・・」
プルミエールの回し蹴りが、別の兵士にヒットする。
数メートル吹っ飛んだ兵士は泡を吹いて倒れていた。
兵士達の数は、同じ6人。
だが、戦力差は日の目を見るより明らかだった。
兵士「くっ、くそ!増援を呼べ!」
エレノアの樫の杖が、兵士の胴を横に薙払う。
ネメシスの手に握られたまさかりがうなりをあげると、兵士はたじろいで
逃げていく。
増援が来ても、同じ事だった。
兵士「ああ・・・ひ、ひけぇ〜〜〜!!」
結局、30人がかりで、彼女たちの一人も屈させることは出来なかったのである。
03/02/2001