まさかりのSaGa


意外な人物が、意外な行動を申し出た。
ネメシス「私も、エレノアさんと一緒に行かせて下さい!」
勿論、ディオールは大反対をした。
ディオ「ネメシス!?何を言ってるんだ!君にそんな危険なことを
    させるわけには行かない!」
ネメシス「ええ、でもディオール。私は大丈夫だと思うの。」
ディオ「でもっ!」
口を挟んだのは、アニーだった。
アニー「ねえ、ディオールさん。ネメシスさんには予知能力ってのが
    あるんでしょ?彼女が大丈夫って言うなら大丈夫なんじゃない?」
ディオ「なんだと?」
ディオールの目つきが豹変する。
アニー「へー・・・あたしをそんな挑発的な目で見るんだ?」
ディオ「貴様はどれだけ俺達のことをわかってるんだ?口出しはしないで
    もらおうか。」
アニー「つきあいも短いんだもの。でも、これから長いつきあいになりそう
    なんだから、少しくらい一緒に送りだして上げるのがいいと
    あたしは思う迄よ。」
ディオ「バカを言え。ネメシスが危険な目に遭うなどそんなことは
    どのような事情があるにせよ、認められん。」
アニー「それって、個人的感情?それとも、一般論として客観的視点から見
    た話?」
ディオ「どちらでも関係ないだろう・・・」
アニー「あるよ。前者だと、みんなにもネメシスさん自身にも
    いずれは迷惑がかかることになる。多分、アンタは前者の
    タイプだろうけど・・・」
ディオ「言わせておけば・・・」
ディオールの身体が徐々に殺気を帯びていく。
それに呼応するかのように、アニーも剣気を強める。
パルサー「やめんかふたりとも!」
だが、二人の耳には届いていないようだ。
エレノア「やれやれ・・・世話が焼けること。」
だが、二人を止めようと言う意志はそこには全く存在していない。
ディオ「無理矢理でもわからせてやる!」
アニー「ハッ!出来るならやってみなっ!」
二人の剣の必殺の一撃がかわされる瞬間、二人の間にあった小さな
空間を、何かの重いものが素早く通り過ぎたようだった。
二人は動きをぴたりと止めた。
ネメシス「二人とも止めて下さい!」
ネメシスの手には巨大なまさかりが握られている。
片手で軽々と持ち上げている様子は、見るものを吃驚させるに足りた。
何しろ、まさかりと神秘的な美女の組み合わせほどギャップのあるものも、
珍しいのだから。
ネメシス「こんな事で喧嘩はしないで下さいね!」
地面に食い込んでいるまさかりを片手で無造作に抜き取る。
誰の目にも、彼女の筋力は一目瞭然だった。
ネメシスは素早く、まさかりを操る。
ディオ「あ、ああ・・・」
アニー「う、うん・・・」
ディオールでさえ、ネメシスの意外な怪力に、目を見張っていたのだ。
ネメシス「とりあえず、私も行きます。依存無いですよね?」
ディオは「ああ」としか応えることが出来なかった。
アニー「ああ・・・あたしも付いていくよ。」
ネメシス「どうしてですか?」
アニー「お目付役って必要だからね。」
ディオールはムッとした顔をするが、隣りにいさめられ、何とか平静の自分
に近い自分を取り戻したようだ。
ディオ「それなら、俺も・・・」
ネメシス「ええ、ディオール、でもあなたはここの警備をしなくては。」
ディオ「・・・」
エレノア「心配ないって。私とアニーとネメシスの三人なら、
     大丈夫だって!」
そうして、まさかりを担いだネメシスと、アニーの二人がエレノアの
旅連れになったわけだ。
03/01/2001