価値観のSaGa


プル「・・・という訳なのよ。」
カタリナ「へぇ・・・そうやってこっちの世界に来たんですか。」
グスタフ「ファイアブランドについても、今話したとおりだ。」
シャール「クヴェル、か・・・にわかには信じがたいが、目の前に
     あるこの剣からは確かに他のものにはない力を感じる・・・」
プルミエールやグスタフがどうやって次元の狭間に迷ったか、そして
クヴェルというものがどのようなものかと言うことを今、二人から
説明を受けた一同は、やはりにわかには信じがたい事実が存在することを
改めて知った。
何より、ものの価値観が違う。
石や音にも、石や音として機能させている「アニマ」と言うものが
あるのだという話は、特に一同の気を引いた。
今までの価値観では、あくまでそれはそれとしてただ存在しているだけに
過ぎなかったものだったから。
しかし、純金属にはアニマが存在しないという話は、プルミエールや
グスタフ自身、首を傾げざるを得ないのだ。
プル「アニマというものを操るのは、そんなに難しくないの。
   感じる心を解放すれば、最初は微少でも、アニマを感じられる。
   炎が熱いと感じるのは、炎のアニマを無意識のうちに感じているから
   なのよ。」
シフ「成る程、イデア論と似たようなものだな。」
グスタフ「何だそのイデア論というのは?」
シフ「物事を形作っているのは物質的なものと精神的なもの――ああ、
   あたしは頭が悪いからよくわからないけど、詳しい話は
   巨人達に聞けばいいさ。とにかく、あんた達の言うアニマってのは
   多分同じ様なものなんだろう。」
プル「とりあえず、解釈していただけると良いのだけど。
   でも、私たちほどアニマを感じられるのはこの世界にはいないようね
   ・・・」
巨人「お話中すまないが、そのアニマを感じるという機能は、人間は
   世界が別れたときに徐々にその機能性を失っていったのだ。
   そもそもアニマという概念自体が古い概念なのだ。
   つまり、そのアニマを感じることの出来るそなた達は、この者達より
   古代の人間に近いと言えるのだ。
   昔の秘話を裏付ける、人間的証拠とも言えよう。」
巨人は長い年月を生きてきた。
その間に、彼らは多くの人間や神達を見つめてきたのだ。
巨人の一言は、重い。
この巨人の一言は、即ちプルミエールやグスタフの存在が、何よりの
文献の証拠だと言っているのだ。
プル「・・・」
プルミエールも閉口する。
彼女たちが当たり前に感じているアニマは、既に他の世界では
失われた力であったと言うこと。
そして、古代人達はそのアニマを感じていたのだという事実。
グスタフ「・・・どうやら、私たちがここにいるのもただの偶然では
     ないようだな・・・」
02/28/2001