接点のSaGa


ミューズが最初に見た光景は、非常におかしなものだった。
プル「このグスタフ!このっ!」
グスタフ「・・・痛いぞ・・・」
妙な髪型をしている男が、真っ赤に映える髪をしている女にげしげしと
何度も蹴りを入れられている。が、男の方は別段応えていないのか、
それとも単に無表情を装っているのか、全く表情に抑揚がない。
ミューズ「あの・・・もしもし?」
グスタフ「ん?プルミエール、誰か人が来たぞ。」
プル「あん!?」
グスタフから目を離し、プルミエールの視線がミューズに注がれると、
即座にグスタフは体を起こし、プルミエールの横に並ぶ。
見た目よりも、どうやら洒落が分かる人物のようだ。表情は
無表情ではあったが、動きには滑稽さと洒落っけがある。
ミューズ「あなた達、どちら様ですか?」
ミューズの邪気のない表情に、プルミエールもグスタフも警戒心を
解く。
プル「ああ、私はプルミエールって言うの。」
グスタフ「・・・」
プル「この訳わかんないヤツがグスタフ。若いクセに老成しきってる
   変なヤツよ。」
グスタフ「そこまで言うことはないだろう・・・」
しかし、端から見た彼女たちの姿は十分に警戒心を相手に与えうる
ものである。
グスタフは二本の長剣を、プルミエールは斧や槍は愚か、手には
殴られると痛そうなグラブがはめられている。
一見して、戦ものだと言うことが理解できる。
にもかかわらず、ミューズは。
ミューズ「あら、わざわざ遠くから来たんでしょうね。こちらで
     お休みになられたら如何です?」
全く敵愾心がない。
些かプルミエールもグスタフも拍子抜けした様子で、道案内をしようとする
ミューズに付いていくのだった。
カタリナやシャールが非常にたまげたのは、言うまでもない。

そもそも、一つの封印が破られた時点で、かなり次元には歪みが
生じ始めている。あちらこちらにそれぞれの世界を結ぶ穴が、
存在しはじめているのだ。
プルミエールとグスタフが、ここに飛んできたのもそう言う背景がある。
詳しい話は少し話を進めなければいけないため、ここでは省略する。

プル「ともあれ、私とグスタフは、どうやら私たちが存在していたはずの
   元々の世界とは違う世界に飛ばされたみたいね。」
ミューズ「そうですね。私たちも実はそうなんです。ここの世界の住人
     とは違った世界に生を受けていたんですよ。」
カタリナ「それを私が詳しく調べていたんですけど・・・」
巨人の里には、古来の文献が膨大な量で残されている。
カタリナは、ふとグスタフの持つ真っ赤に燃える太陽のごとき長剣
を目に留めた。カタリナの記憶が正しければ、この巨人の里の古い文献
の中で見たことがあるはずだ。
確か、名前は・・・
カタリナ「ファイアブランド!?」
グスタフ「!?」
グスタフとプルミエールは耳を疑った。
自分たちは他の世界から飛んできたことはまず間違いない。
しかし、他の世界の住人のハズのカタリナが、ファイアブランドという
クヴェルの存在を知っていることに、驚嘆した。
プル「どうして、それを・・・」
カタリナ「77の秘宝の一つ・・・ファイアブランド・・・」
02/28/2001