宗教のSaGa


マミが、アルベルトとアイシャの異変に気が付くのは間もなくであった。

結局、トーマスは教団の信者をうち倒せなかった。
理由は、別に彼が信者よりも弱かったからではない。
彼に正義がなかったからである。
体裁と言えばそれまでだが、他人の目はあくまで教団に対して好意な視線
である。まして、トーマスはピドナでは顔が知れすぎている。
今のところ、トーマスが教団に対して確信がある悪事は表沙汰にはなって
いない。
彼は引き上げるしかなかったのだ。
サラ「・・・?」
しかし、サラはほんの僅かだが感じていた。
教団の怪しげな空気の中に、あからさまに拒絶を示している存在があると。
トーマス「どうしたの?サラ?」
サラはふと立ち止まり、未だに入り口を固めている信者がいる
教団のアジトの入り口をぼんやり眺めていた。
心なしか、拒絶感は強まっている。
サラ「・・・何、この感じ・・・?」

目の前にいる男は、マミの目には明らかに教団の指導者とは思えぬ
姿だった。
白いローブに身を包んで、目元は笑いでたれているが、しかし、
隠せぬ下劣な感じ。
口元は締まりがなく、髭は粗野的で、何より耳に付いている赤珊瑚の
ピアスが妙に浮いている。
指導者「私はマクシムス。ここの支部を預かるものです。」
マクシムスと名乗る男は、恭しく三人に礼をした。
マミはそれがひどくいやらしく、汚らしく見えた。
マミ「ねえ、アイシャさん・・・おかしいと思わない?」
二人の異変に気が付いたのは、ここだった。
マミ「・・・え?」
マミが死角で少しアイシャの服を引っ張ると、アイシャは無造作に
それを振り払ったのだ。
マミ「アイシャさん・・・?」
全身に悪寒を感じ、マミはマクシムスの方を見る。
すると、彼の身体から禍々しい気が発散されている!
いよいよ、マミは不快さを募らせた。
マミ「何なのよ、これっ!」
しかし、誰もその叫びに応答するものはない。
マクシムス「神王教団は不滅だ!」
マクシムスが手を振り上げてそう大声を張り上げると、今まで無口だった
信者は愚か、アルベルトやアイシャまでもがそれに続く。
「我らの神王教団!」
02/27/2001