旧市街のSaGa


マミ「魔王殿?」
マミが魔王殿の話を最初に聞いたのは、アクセサリー屋でのことだった。
主人「ええ。ここピドナに、昔魔王が住んでたっていう魔王殿が
   あるんですよ。最も、ここの新市街地じゃなくてもっと昔の
   旧市街地にあるんですけど・・・」
マミ「へー・・・」
と言うわけで、特に目的もない一行は旧市街地の魔王殿なる場所に
向かったのだ。
アル「うわ・・・」
旧市街地は、まさしく旧のものであった。
建物は半分崩れ落ち、ある建物は焼けただれ、草木すら精力が衰え
ている様な感じだ。
しかし、そこに住む人々は別に辛気くさい顔をしていない。
むしろ、誇らしい、神々しい顔をしている。
とりあえず、アイシャは近くにいる男に話しかけた。
男「ああ、ちょっと前まではここらも辛気くさかったんだけどね・・・
  神王教団って言うのが最近出来て、この辺の人々の心がぱっと晴れたっ
  っていうか・・・なんか、生きる気力が湧いたってヤツか。」
アイシャ「神王教団?」
男「ああ・・・まだ小さな教団だけどな。その辺に確か本部があるはずだよ
  な。案内してあげよう。」

トーマス「神王教団が?」
ここは、ピドナの新市街地のはずれにある、トーマスの叔父の住む豪邸。
そこの一室でコーヒーを飲んでいたトーマスには、当に寝耳に水だった。
叔父「ああ・・・旧市街地の方で、何やら・・・」
サラ「それは本当ですか!?」
突然、隣の部屋からサラが大声で駆けつける。
トーマス「サラ!一体どうしたんだ!?」
サラは、青白い表情で言った。
サラ「ああ・・・今日の夢で見たんです。神王教団が、何やら今日にでも
   恐ろしいことをする夢が・・・」
叔父「そう言われても、我々としては・・・」
トーマス「・・・とにかく、ボクは旧市街地の方へ行ってみようと思います
     ・・・。サラ、君も来るかい?」
サラは、少し何かに恐れた表情をして、黙って頷いた。
トーマス「では行ってきます叔父上。」
近くにおいてある、愛用のやりを片手に・・・

そのころ、アセルスとクローディアは、船に乗っていた。
アセルス「なんか、二人って言うのも寂しいね。」
クローディア「私は別に・・・」
アセルス「ここ数日、騒がしかったからね、私は。元々私、喧噪が
     好きなんだよ。」
クローディア「そうなんですの?」
一軒会話が成り立っていないようだが、これはこれで上手く話の折り合いは付いているのだ。
さあ、二人の目指すアロン島は、まだ見えない。
02/26/2001