次元の穴のSaGa


アセルス「これは?」
恐竜たちの導きで、奥に進んでいって見つけたもの。
それは、人一人分くらいの大きさの、黒い穴だった。
アル「穴?」
マミ「・・・でも、なんか、この穴から・・・中からって言うより、
   この穴自体に魔力を感じる・・・」
アセルス「・・・この穴から感じる魔力、私には覚えがあるかも・・・」
恐竜たちは案内すると、すぐにその場から立ち去っていく。
アイシャ「ここは危険だから、なるべく長居しない方がいいですって。」
クローディア「この穴の事かしら?」
アイシャ「多分・・・」
穴は、覗いてみても、全く暗かった。
底なしとも違う。多分、この穴はホントの物理的なものではない――
マミは、そう直感した。
マミ「あたし、ちょっと入ってみる。」
片手を穴の中に入れると、ぐっ、と強い力が働いて、マミの身体は
穴の中に吸い込まれそうになった。
マミ「やだ、何これ・・・!?」
アル「マミ!」
アルベルトがマミの手を掴み、渾身の力で引っぱり出す。
マミ「ああ、何だろう、今のは・・・」
アル「・・・もっと、気を付けないと・・・」
アルベルトはマミの手をしっかりと握っている。
アイシャには、それが面白くなかった。
アイシャ「・・・」
何やら芽生えた強い嫉妬感が、彼女を駆り立てた。
アイシャは無言で、穴の中へと身を沈める。
クローディア「!!」
アル「アイシャ!!」
呼びかけても。返事はない。
マミ「アイシャさん!!」
そして。マミもアルベルトの手を振りきって穴の中へと入っていく。
アル「くそっ!」
そして、アルベルトも。
アセルスは、その状況を冷静に見つめていた。
アセルス「・・・若いわね・・・」
自分だってそう年は変わらないはずなのに。
クローディア「・・・アセルスさん、私たちも行きます・・・?」
アセルス「・・・いや、クローディア。あなたにはピラミッドに行く
     事が大切なんでしょ?
     そっちを優先させるのが良いと思うよ。」
クローディア「でも・・・」
アセルス「大丈夫。私もあなたにつき合うから。」
アセルスの笑顔を見て、クローディアは、なぜだか胸にきゅん、という
高鳴りを聞いた気がした。
が、気のせいだと言うことにした。
アセルス「とりあえず、帰ってきたときのためになんかの合図を残して
     行こう。もう、多分ここで出来ることはないから。」
02/16/2001