ライバル出現のSaGa


先に、ルーンの元へ辿り着いたのは、レッド達だった。
レッド「・・・ルーン・・・」
明らかに他の石肌とは違う、まるで宝石のように生成された石に上に、
ぼう、と浮き上がっている古代文字。
レッドは、それと似たのを武王の古墳でみた。
ミリアム「凄い魔力を持ってる・・・!」
リュート「おお〜〜ルーンよ〜〜」
レッドは、ルーンに手を差しのばそうとした。

バシュッ!

何かが、レッドの差しのばした手のすぐ先を通り抜ける。
レッド「何だ!?」
警戒せざるを得ない何かが、辺りの空間を押しつぶそうとしていた。
???「そのルーンに、お前を触れさせるわけには行かない・・・」
声はそう高くなく、低くなく。
大きいわけでも、小さいわけでもない、普通の声。
それがかえって、不気味だった。
レッド「誰だ!?」
背後に気配を感じた。
全身の瞬発力を使い、レッドは身を反転させ後ずさる。
また、空間を切る何か。一瞬の遅れで、レッドの身体は半分になっていただろう。
???「ほう・・・また避けたか。」
今度は、姿が見える。
真っ白。
それが、レッドの見た感想の全てだった。
真っ白のフードに、真っ白のローブ。
僅かにそこから見える目と、手。
殺気も、敵対心も、優しさも、慈悲も、全く感じられない、真っ白な
空白。
それが、目の前の存在だった。
レッド「ミリアムさん!術を・・・」
レッドが言うより早く、ミリアムは火の術を完成あせていた。
???「愚かな・・・」
白ずくめの男は姿を少し影のように薄めたかと思うと、ミリアムの放った
業火をいとも簡単に避けてしまった。
???「その程度の炎では、私は焼けん・・・」
そしてまた、実体化。
リュート「なんだか、実体がここにないみたいだなぁ・・・」
リュートが現れては消え、現れては消えする白い男を、そう評した。
男は目元が少し笑ったように歪み、少し口を開いた。
???「その男、なかなか鋭い・・・
    我が名はトラ・・・西方を司る、大いなる神の僕・・・」
レッド「なんだと・・・!?」
トラ「私の使命は、我が神の野望を妨げる芽となるものを早々と摘むこと・・・」
トラ、と名乗った白づくめの手に、ぼうっ、と長い爪が浮き出る。
並の剣よりも鋭い。あれに切られたら、身体がハムのようにスライスされる
だろう。
トラ「さて・・・誰から死にたい?」

ヌサカーンが面妖な気配をとらえたのは、そう早くなかった。
ヌサカン「ぬっ!?」
突然立ち止まり表情を変えるヌサカーンに、エレンは一抹の不安を覚えた。
エレン「・・・どうしたの?」
ヌサカン「・・・まずい・・・この気配は、人間じゃないな・・・」
ヌサカーンは、突如として走り出した。
エレンは、スライムを地面から引き剥がし、自分の腕に絡めて後を追った。
エレン「待ってよ、一体どうしたの!?」
ヌサカン「ヤツらが、でた恐れがある!」
エレン「ヤツら!?」
ヌサカン「話は後だ!多分、ヤツはルーンのところで何かをしている!」
ルーンに近づくたび、エレンもこの気配を感じ始めてきた。
人とも全く異なり、モンスターとも違う、生命体の気配を。
殺気も、慈悲も、何の感情もない、いや、それらを超越した
気配を持つ何か。
肌が、ぴりぴりする。
それでも、エレンとヌサカーンは、奥へと進んでいった。
02/15/2001