イタメシ屋のSaGa


中は結構清潔感が漂っていて、汚いクーロンの外の町並みとは少し
次元が違う場所という気がしないでもなかった。
ルーファス「いらっしゃいませ。」
金髪でサングラスをかけた男がウエイターだろうか、エレンの元に
お冷やとメニューを持ってきた。
エレン「良い店ですね。」
社交辞令でも何でもなく、エレンは思ったことを口にした。
ルーファス「少し前まではもう少し客足もあったんだがな・・・ 
       二人の従業員が突然になくなってから経営が行き詰まって 
       な・・・この有様さ。」
エレン「ふーん、こんな良い店をほったらかして何やってるんでしょうね?」
ルーファス「全くだ・・・とりあえず、メニューは何にするのだ?」
いろいろな話をすることよりも、エレンはまず一人の客なのだ。
とりあえず、自分の好物のピザとパスタははずせないとして・・・
エレン「トマトソースでお願いしますね。」
ルーファス「かしこまりました。では。」
メニューを下げ、男は厨房に入っていった。
エレン「・・・私、この店で働くのも良いかなぁ・・・」
ここの店の従業員だったという二人と実は面識があろう等とは
思いも寄らなかったが・・・
待つこと数分、ピザとパスタが運ばれてきた。
実においしそうだ。
エレン「じゃあ、いただきます。」
よほど腹が空いていたのか、エレンはそれを待つ時間よりも早い時間で
食べきってしまった。
エレン「ごちそうさま〜」
いいくいっぷりに男も満足していたようだった。
ルーファス「ところで、君。」
不意に、男がエレンに話しかけてきた。
ルーファス「クーロンに伝わるルーンの話というものを知ってるか?」
エレン「ルーン・・・?」
ルーファス「そうだ。地下に洞窟があるのだが、その際深部には
      何かの封印を司ったルーンがあるらしい・・・
      到達した物は皆無だと言うがな。」
エレン「ルーン、ルーン・・・ああ、わかったわ。シュライクの古墳
    でも見た、あれか・・・」
ルーファス「!?」
ルーファスの表情が大きく動いたが、エレンはそれに気がつかなかった。
エレン「でも、どうして私にそんなこと教えてくれるんですか?」
ルーファス「何か君が強さを秘めてるようだったからね。私も多少の
      心得があるから、強いものと弱いものの判断は一目で
      出来るのさ。そんなヤツに、私は情報を教える。」
エレン「ふーん・・・でも、凄く私にとってプラスになる話でしたよ。
    もう少し詳しい話をお願いできますか?」
ルーファス「いや・・・これ以上は、裏通りにいるヌサカーンという
      医者に聞いてくれ。居場所は教える。」
エレン「・・・わかったわ。ありがとうございました、いろいろと。
    お食事もおいしかったですよ。代金はここにおいておきますから。」
ルーファス「ああ、こちらこそありがとう。大事な客だったからな。
      ヌサカーンはここから真っ直ぐ行った裏通りを暫く真っ直ぐに行って
      階段を下りるとすぐだ」
エレン「わかった。行ってみます。」
ルーファス「それじゃあ、また来てくれ。」
エレンが店を出てから、ルーファスは一人ごちた。
ルーファス「ルーンを集めているだと・・・私が動く日も、近いな」
06/23/2000