風来坊のSaGa


レッド「あのなぁ・・・」
エレン「あのねぇ・・・」
レッド「お前が・・・」
エレン「あなたが・・・」
二人「トロイからいけないんだよっ!」
オウミにて、二人。
痴話喧嘩とも思えなくもない不毛な言い争いは、かれこれ20分ほど
ぶっつづいている。
理由はというと。
実に下らないことだ。
単に、レッドが足を引っかけてエレンの頭に頭突きをかました。
それだけの話だった。
レッドは素直に謝ろうとしたが、エレンがいきなり凄い剣幕で
レッドに畳みかけてきたのだ。
エレン「何ぼさっとしてるのよ!痛いじゃない!このドジ男!」
そう言われてレッドも素直に謝れるはずがない。
レッド「お前がぼけっとしてるからぶつかるんだよ!」
こうなったら売り言葉に買い言葉である。
最も、エレンがレッドにそこまで絡んだ理由は言うまでもなかったが。
エレン「ふん!」
要するに、レッドとどう接して良いかわからないのである。
何しろ、恋などこのかたしたことがなかったので・・・
レッド「かわいげのねえ女!」
エレン「な・・・何ですって!?」
こうなったら止まらない。
このまま延々と二人の口論は続くかと思われた・・・が。
???「若いことは〜〜いいことなのさ〜〜」
楽器のなる音と共に、下手くそな歌が聞こえてくる。
???「光が〜〜〜若者達を〜〜〜」
聞いていれば耳を塞ぎたく成る程下手くそな歌だ。
しばし、二人は呆気にとられていた。
???「僕の歌はどうだったかい?」
きがつくと歌は終わっていたらしい。
エレン「え・・・うーん、そうね・・・」
レッド「へったくそだったぜ・・・」
エレン「なんてこと言うのよこの馬鹿!」
???「ははは。今のはちょっと僕も勢いに任せたからね。
    もうちょっと今度は切りつめて考えてみるよ。」
レッド「・・・」
エレン「あの・・・あなたはどなたですか?」
???「ん?ああ、僕はさすらいの風来坊、リュートって言うんだ。
    君たちは?」
レッド「自分で言うなよ・・・」
エレン「うるさいっ!」
呟いたレッドの足を思いっきり踏みつける。
レッド「いっ・・・!」
エレン「あたしがエレン・カーソン。で、こっちがレッド君です。」
レッド「本名はあるんだけどな・・・」
リュート「いやあ。君たち二人を見てるとなんだか新しい可能性が
     見えてきそうだよ。」
エレン「はぁ・・・」
リュート「僕もついていって良いかい?お邪魔かな、それとも・・・」
レッドは思った。
この男がいればこのやっかいな女の負担が減る・・・・
エレンも思った。
このままじゃレッドとの仲は険悪になっちゃう・・・
二人の意見は合致した。
エレン「喜んでお供しましょう!」
レッド「二人じゃ寂しかったんだ!」
リュート「ありがとう、君たち。それじゃあ今度からよろしく〜」
しかし、この時二人にはこの男の凄さがまだわかっていなかった・・・
06/20/2000