紋章のSaGa


クローディアが、まず気がついた。
次にマミ、アセルス。
マミ「どうして、骨ばっかりなの?」
既に何時間戦い続けているかはわからないが、わかったことが一つだけ。
死体系の敵が、明らかに多い。
戦い始めた頃はどの種族も系統的には均一だったはずだ。
それが、明らかに不死系のアンデッドが増えている・・・というより、
既に生命を持っている魔物はいなかった。
これは、きっと・・・
マミ「倒しても倒しても、復活する・・・?」
何かの強い邪悪な力の流入によって魔物の魂がこの場で成仏できずに
何度もかりそめの身体を得て操られているようにしか思えない――
クローディア「・・・おかしいですね・・・」
クローディアの近くに駆けつけたアセルスも合意する。
アセルス「全くね。私が滅ぼそうと思った魂は滅んで行くはずなのに・・・
     何か私よりも強い力が、この場を覆ってるとしか・・・」
そう。アセルスの身体に流れる血は妖魔の君、オルロワージュの
もの。彼女が望む者に、望むように滅びを与えることが出来るというのに。
しかし、オルロワージュ以上の力を持つ者になると・・・
アセルス「・・・混沌・・・」
神々と混沌。
そう、あらゆる生き物の中で最も力を持ち、最も長命な種族、妖魔の
更に頂点に君臨する者の力が及ばない領域は、それしか考えられない。
クローディア「混沌・・・?
アセルス「そう。混沌・・・多分、私たちの近くが及ばない範囲まで・・・」

アイシャ「アルベルト、きりがないよ・・・!」
アル「・・・アイシャ、『大地の剣』はまだ使えるか?」
アイシャ「・・・でも、この瓦礫じゃ・・・他のみんなも巻き込んじゃわない?」
アル「大丈夫だ・・・連中はそんなにヤワじゃないさ・・・」
アイシャ「うん、わかった・・・」
アイシャが静かに目を閉じる。
タラール族の、大地と慣れ親しんできた種族だからこその、大地の流を
読みとる力。そして、その大地の力を操ることの出来る、『大地の剣』。
この剣を扱えるのは、アイシャただ一人。
精神を集中させ、地脈の流を読む。
クローディア「アイシャが、アレを使うわ・・・みなさん、注意して!
       来ますから!」
アイシャ「大震剣!!」
思いっきり大地に突き立てた細身の剣が、地脈を変化させ、局地的な
大地震を起こす。辺りの瓦礫は重力を忘れ、宙へと浮く。

ガァァァァン!

地の竜が泣き叫ぶ。
全て地に縫いつけられた魔物達は地に伏し、身を崩していく。
アル「・・・!」
その中で、アルベルトはある紋章の形を見た。
禍々しい妖気を、これでもかと言わんばかりに放つ、その紋章。
アル「アレは・・・!」
混沌を引き起こす、邪悪な神の紋章――
アル「サルーインの紋章・・・!」
05/25/2000