帰省のSaGa


エレノアは気がついていた。
時間の呻きに、空間の嘆きに。
気がついてみるとエレンとレッドがいなくなっていたが、そんなことを
考えている余裕はなかった。
自分だけに備わった、空間や時間を超える四次元的な能力。
もう、リッチと別れて半年近く経つが・・・
エレノア「リッチ、何してるかしらね?」
空を見ても、リッチの顔は浮かばなかった。

アセルス「これが、アルベルトのお部屋?」
ちょっとした事情で、アセルス達はイスマス城に来ていた。
というのも、アルベルトが何か気になることがあってのことらしいが・・・
アル「や、やめてくれ〜!」
アセルス「あ、これって小さい頃の写真!なかなか可愛いじゃない。」
マミ「あ、こっちにはおねしょしてるのがありますよ!」
アル「・・・こいつら・・・」
気が散って捜し物もできない。
して、その捜し物というのが他でもない、アルベルトの王家に伝わる
「伝承」の事だった。
確か。アルベルトの記憶にはこうあった。
――宝を集めよ、されば世界は再び・・・となり、・・・であるだろう――
肝心なところが抜けている。
アルベルトは巨人の里でディスティニーストーンの話を聞いたとき、
ふっとこの伝承が頭にひらめいた。
何か、大事なことだった気がする・・・
アル「あ!これだ!!」
伝承の書かれた古文書は、父の壊れた引き出しの中に入っていた。
それだけ、原形をとどめて・・・
まるで、何かの神秘的な力が守っているかのようだった。
マミ「あったの!?」
アセルス「ずいぶんさがすのが遅かったみたいじゃない。」
お前のせいだよ、とアルベルトは心中で悪態をついた。
アセルス「で、何が書いてあったの?」
アル「・・・マミの持ってる鏡、それが秘宝と呼ばれるもの・・・
   それが、神々の残した宝だとすると・・・」
アルベルトは古文書を眺めながらぶつぶつ言っているだけだ。
アセルスには、それが面白くなかった。
アセルス「貸して!」
強引にアルベルトから古文書を奪い――アセルスも、瞬時に動きを失う。
アセルス「・・・私の感じたとおりかも知れない・・・」
マミはただその二人の反応を眺めているだけだたが、やがて口を開いた。
マミ「二人とも・・・どうしたんですか?」
アセルス「マミ。もしかしたら、これからとんでもないことになるかも
     知れない。私たちを中心にして、この世界の常識を覆す
     ような、大きな何かが・・・」
05/21/2000