若さのSaGa


エレン「レッド!早く早く!!」
レッド「でも、いいのかよ・・・」
エレン「いいのいいのっ!」
酒場を抜け出した二人はリージョンシップの発着所まで来ていた。
レッド「あーあ。こいつと二人で出るんじゃなかったぜ・・・」
エレン「なんか言った?」
レッドのつま先を思いっきりエレンが踏みつけたので、レッドは
飛び上がって痛みを堪えた。
レッド「っっっってぇ!!」
エレン「余計なこと言うからよ、ふんっ!」
しかし、よくよく考えてみると、レッドがすんでいるこの世界は
基本的に自分たちの世界とは全く違う、とエレンは思う。
そもそも、世界の間を船で行き来するという概念が無い。
混沌の間を運行するリージョンシップ。
海を渡る船と似ているが、全く非なるもの。
どうして、自分はこんな世界に来たのだろう・・・
エレン「ねえ、レッド。」
レッドはさっきエレンに踏まれた足をさすりながら、少し機嫌の
悪そうな表情でエレンを見た。
レッド「なんだよ?」
エレン「リージョンシップに乗ってる時って、どんな感じ?」
思いがけない質問にレッドは答えに困惑した。
彼からするとリージョンシップに乗るのはごく普通の行為であり、
特別なにかを思ったこともなかった。
レッド「うーん・・・わかんねぇなぁ。」
エレン「混沌に飲み込まれるのが怖くないの?」
レッド「ん?あー、そっか。そう言うことか。」
レッドは急に嬉しくなった。
気圧されしない頑丈な性格とばかり思っていたエレンの以外に恐がりな
一面を見た気がして、得意な気分になったのだ。
レッド「別に、怖くはないさ。でも・・・」
エレン「でも・・・?」
レッド「時々、自分が世界から隔離された状態な気がする・・・」
世界を繋ぐのは混沌。
混沌の中にいれば、そんな感情も沸き立つ・・・
エレン「ね、ねえ。レッドは、もしあたしが外に放り出されそうに
    なったら、助けてくれる?」
レッド「・・・さあな。たまにくらいはお前みたいなのに泣きつかれ
    て見たいというのはあるけどなっ!」
エレン「・・・・!!!」
結構自分はマジだったのに、レッドがそんな自分をふざけて交わした
ことにエレンは腹が立った。
エレン「ばかっ!知らない!!」
思いっきりレッドの顔面を殴りつけ、エレンはリージョンシップの中へ
一人で入っていってしまった。
レッド「・・・なんなんだよ、アイツは・・・」
しょうがない、と言った半ば呆れ顔でレッドはエレンの後を追って
行った。
その様子を影から見つめていた、一人の男性。
リュート「若いねぇ〜〜♪」
05/06/2000