巨人のSaGa


巨人の里、と言う場所がある。
何人たりとも足を踏み入れることが出来ない、禁断の領域。
アル「ここが・・・」
そこに、アルベルトやアセルス御一行は招待されたのだ。
巨人に自分たちの存在が見つかったとき、誰もが一巻の終わりだと
感じていた。元来、人間は巨人よりも肉体的、知能的にも劣っていて
勝てる見込みなど無かったからである。
もっとも、アセルスだけは別だったようだが。
アセルス「なに?巨人達が私たちに何のよう?」
彼女は既に針の城の巨人を倒している。
今更巨人くらいで驚くことはなかった。
彼女の身体に流れる王者の血は、どの存在よりも高貴で、また
強いものだったから。
巨人「・・・お前達、ただの人間とは違う・・・」
巨人「もしかして、予言の・・・」
巨人「長老の所へ・・・」
巨人達は口々に呟き、そのうち全員で何かしらの呪文を唱えはじめた。
アセルスと、マミはしかしその呪文が何を意味するか理解していた。
転移の呪文だ。
そうして、ここに転移してきた、と言うわけだ。

マミ「巨人の里かぁ。」
マミは何やら自分の3倍はあろうかという巨人達を見て、はしゃいでいる。
最初はあまりの出来事に彼女も面食らっていたが、じきに持ち前の
脳天気さがそれをカバーした。
シャール「うむ・・・この町は俺にとっては住み易そうな街だ。」
ようやく落ち着いてきたのか、シャールも精神的に安定が見え始める。
長老は、意外に人間に対して寛容だった。
長老「人間達よ。ここに人間が来たのは何年ぶりか・・・
   勇者ミルザ以来か。」
シフ「ミルザ様が、ここに・・・」
長老「左様。彼は、予言に導かれし勇者だった。
   そして、そなたらも・・・」
長老の話は、次のようなものだった。
予めここに人間が再び来ることは既に10年以上も前から決められていた
ことらしい。
巨人族の始祖、ミーミルの首がそう告げたらしいのだ。
文明は発達したが、巨人族にとってオカルトや迷信は絶対であり、
科学などはその足元にも及ばないほど軽視されていた。
彼らがここを訪れたときに、渡してやるものが一つ。
それはミルザが身につけていた破邪の石、ディスティニーストーン。
長老「ここにあるのは8つのうちの一つに過ぎん。」
手渡された宝石は、エメラルドだった。
長老「愚かな人間がこれを研究に使おうとしていたのでな、取り返して
   やったのだよ。」
カタリナ「これを・・・私に?」
長老が手渡した相手は、カタリナだった。
長老「左様。あなたの魂の色は、エメラルドのものだ・・・」
ミューズ「あの、長老様。では、私たちみんなにそれぞれ石が
     あるのですか?」
長老「いや。この中にいる連中の中では、彼女以外この石を持つのに
   ふさわしい者は居ない。
   ・・・だが、そなたらの仲間は他にも大勢いる。
   別な次元に、それこそ星の数ほど・・・」
長老の言葉は意味深長だったが、今の彼女たちの知識では
理解できなかった。
長老「妖魔の君。」
アセルス「なに?そうやって呼ぶの、やめてくれないかな。
     私、その呼び方キライなんだ。」
長老「いや。君はもう立派な妖魔の君としての風格を備えているよ。
     さて、君は本来この世界の住人ではないでしょう。
   いや・・・そこの君たちもだ。
   いろいろな次元から、いろいろな理由で仲間が集う。
   これはも、予言にあったことだ。」
長老は、そう言った後、ゴホンと一つ大きく咳払いをし、言い換えた。
長老「いや・・・今の君たちにはまだ理解できまい。
   また君たちもここに来ることがあるだろう。
   その時は、また・・・」

「巨人達ですが・・・忌々しい連中ですね・・・」
黒服の男は空中から巨人の里を一望する。
黒服「彼らも元々神の一種。私一人ではまだここに手は出せませんが、
   いつか滅ぼしてあげますよ・・・ふふふ・・・」
04/09/2000