アセルス「何で逃げることになったのか、わかんないなぁ・・・」
ローバーン公は死んだ。
それによって、何があったかと言えば・・・
まがりなりにも、彼は世界の実力者であり、その影響力は計り知れないものが
ある。そいつを殺した、となると。
考えずにも結果は出る。
カタリナ「私、何にもやってないのに・・・ああ・・・」
そんなことを言うヤツは、何時の時代も損な役割ばかり回るものだ。
ミューズ「私は、なかなかおもしろいと思いますけど。」
こういう性格の人は、何時の時代も得な役回りだ。
シャール「俺、もうやだよ・・・」
こういうヤツは、何時の時代も真っ先に不幸になる。
シフ「あっはっはっはっはは!!!」
こういうヤツは・・・何時の時代も生き残れる。
アル「ああ、どうしようどうしよう・・・」
こんなに考えるヤツは、何時の時代も自己嫌悪に陥って堂々巡りになる。
マミ「うーん、そんなに大変なの?」
こういう脳天気なヤツは、何時の時代も幸運が訪れる。
アセルス「おかしいなぁ・・・どうしてこんなことになったんだろう。
徹底的に壊してくればばれないで良かったのかなぁ・・・」
こういう破壊者は・・・何時の時代にもいてはならない。
とりあえず、ローバーンの手の届く範囲からは、逃げ切れた。
その結果、迷い込んだのは、砂漠。
砂漠である。灼熱の、砂漠・・・
これは、ある人物の、最も懸念していたことだった。
それは、最も不幸になる人。
シャール「・・・」
既に彼は無口になっていた。
ミューズ「ああ、太陽が気持ちいいですわ。日焼け、しちゃいますわね」
マミ「うんうん。ミューズさんも、あたしも顔グロ〜〜ってね♪」
アセルス「顔グロって、でも汚くない?私はやだなぁ。主張が無くて。」
マミ「え〜〜。あたし、でもやってみたいなぁ。」
アセルス「まあ、私は日焼けしないから良いんだけどね。
こんな身体でも、良かったことが一つでもあって良かったなぁ。
色黒にならないように、気を使ってたんだから。」
ミューズ「あら、私は顔グロというものに憧れを感じますわ。」
マミ「じゃ、一緒に顔グロだぁ!!」
ミューズ「そうですわね、さぁ、顔グロになりましょう!」
アセルス「何処がいんだろ、色黒の・・・私、色白が良いけどなぁ。」
はしゃぐ若い女性陣を後目に、ちょっと年かさの女性陣二人、あと
男性二人はかなり参っていた。
シフ「寒さは良いけど・・・暑いのは・・・」
アル「べとべとする・・・火山より暑くないかぁ!?」
シャール「・・・」
カタリナ「私も・・・もう少し若かったら・・・」
しかし、いくら砂漠と言ってもこの暑さは異常だった。
そこに、何かしらの異常を感じ得なかったのは、偏にまともな状況
ではなかったからだろう。
アセルスを除いて。
アセルス「・・・?ん?」
彼女の身体は、暑さも寒さも感じない。
だが、この濃い魔気とでも言うべきか、人間とは違う空気を感じ取るのは
誰よりも長けていた。
アセルス「・・・おかしい。何か・・・感じる?」
近い。人間とは違う存在が、近くにいる。
・・・それも、複数。
アセルス「ねぇ、シフ。なんかおかしいと思わない?」
シフは歴戦の強者だ。戦いの匂いはすぐわかるはずだった。
シフ「ん・・・?」
しかし、アセルスに言われるまでは彼女にも気が付かなかったらしい。
シフ「・・・!こ、これは・・・そうか、なんてことを・・・」
アセルス「何があるの?」
シフ「そういえば、こんなことを聞いたことがある。
砂漠の一帯である場所だけ異常に温度が上がるらしいんだ。
そこは、巨人達のすみかに最も近いと言われる・・・」
巨人。
そうか、アセルスはようやく思い出した。
この匂いは、巨人のものだ。オルロワージュの城にも、
一体巨人が住み着いていたが、それと匂いが似ている。
巨人は、一歩一歩、彼女たちに近づいていた。
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