脱獄のSaGa


アルベルトは、速攻で脱獄を試みた。
マミは、投獄されなかったのだ。
自分は、なんと甘いことを考えていたのか。
ローバーン公は、ロリコンだったのだ・・・

マミ「いやぁぁぁ!!」
案の定、ローバーン公はマミを言いように玩んでいた。
マミはこの手のタイプの人間は、殺したいほどキライだったのだが、
こいつがこの辺の領主である以上、迂闊なことは出来ない。
マミ(稲妻でもかまそうかしら!)
とりあえず悲鳴を上げて厭がってれば追い回す以上のことはしないようなので、
アルベルトが来てくれるまでの間、とりあえず遊んでることにした。

アルベルトが脱獄を試みた手は、実は、前にとある人から
教えてもらった隠し通路があるのだ。
こっそり昔に誰かが創ったものらしく、未だに城のものには気が付かれていないらしい、
道をふさごうともしていない。
アル「ふん、甘いナローバーン公・・・」
内心はマミのことが心配で気が狂いそうだったが、彼の理性は
ここで騒ぎを起こすことを止めるほどには強かった。
アル「・・・ん?」
出口にさしかかろうとしたとき、妙に城内が慌ただしくなっていることに
気が付く。
兵士「侵入者だ!」
侵入者?自分でも、マミでもない者が、どうやってこの警備の中を
進入できるというのだ・・・
兵士「ば・・・化け物!!」
一瞬、アルベルトの目の前が赤く光った気がした。
アル「・・・!」
人が死んでいく気配がする。
ローバーンの兵士達とは言え、人が死ぬのはあまりいい気分がしない。
アルベルトは落ち着いた後、ゆっくりと身体を抜け道から外に出した。
そこにいたのは、鮮やかすぎる程の緑の髪の毛、その身から醸し出される
オーラは明らかに人間のものではない、一人の少女だった。
アセルス「あれ?キミがアルベルトなの?」
意外に人なつっこい笑顔だったので、アルベルトは正直、面食らった。
これほどの戦闘能力を持つものが、このような少女だとは。
いや、それよりも。
アル「どうして僕の名前を・・・」
アセルス「ああ、シフが言ってたんだ。昔の仲間がマヌケだから
     助けにいかなきゃってね。」
シフか。彼女もどうやら元気にやっているらしい。
アセルス「それより、速く逃げよう。追っ手が来ると面倒だし。」
アル「ああ、でも・・・連れが一人、まだいるんだ。」
アセルス「あ、もしかして、私よりちょっと年下の女の子?」
アル「!?会ったのか?」
アセルス「その娘なら、もうシフが助けたよ。」
アル「・・・手が早いなぁ・・・」

遊んでいたローバーンは、あっという間に死んだ。
馬鹿な男で、走っていてつまずいて、頭を強打しただけだったのに。
兵士はそうは思わなかったらしい。
マミは犯人にされて・・・そこへ、タイミング良くも悪くも
シフが登場したわけだった。
とりあえず、脱出には成功した。
だが・・・
アル「ローバーン公は死んだ?」
マミ「うん、馬鹿な死に方だったけど・・・」
アル「まっずいなぁ・・・」
何がまずかったかと言えば、これから起こることが一番まずかったのである。
04/06/2000