伯爵のSaGa


アルベルトはかなり渋い顔をしていた。
彼はこのローバーンという国が、大が付くほどキライだったからだ。
故郷イスマスがモンスターの襲来で滅んだとき、彼はこのローバーン
へと辿り着いたのだが・・・
理由もわからず、追いかけられる。
捕まるわけにはいかなかった。
そもそも、ここの伯爵ローバーン公がそもそも大嫌いだったのだ。
あの鼻持ちならない態度ばかりが太々しく、常に他人を見下している
あの目つき。その割に、強いものにはへこへこ頭を下げる・・・
貴族の誇りもないことが、自分の血を尊ぶアルベルトには吐き気がする
くらいキライだった。
アル「この国はキライなんだよ・・・」
マミ「うーん、あたしもなんか禍々しい気を感じるって言うか・・・」
アル「早く出ようか。長居は無用ってね。」
しかし、そうもいかなかったのだ。
兵士「ん?」
一人の兵士が、アルベルトの存在に気が付く。
確か・・・
兵士の脳裏に、はっきりと彼の存在が浮かび上がるまで、そう長くは
かからなかった。
兵士「あ!!あいつは!」
ピー、と兵士は笛を吹くと、あっという間にアルベルトとマミは
囲まれた。
マミ「・・・アルベルト、なんかしたの?」
アル「何にもしてないけど、ここって、こういう国なんだから・・・」
マミ「納得・・・」
抵抗しても良かったが、どうせ彼らには脱獄など容易なことだ。
内部事情なども探るため、とりあえず連行されることにした。
マミ「しかし・・・この人達、何したいのかしらね?」

シフ「あーんもう、何やってんのよあの馬鹿は!!」
ローバーンでの出来事は、あっという間にクリスタルシティの元まで
届いた。
シフ「あんなヘボどもに捕まるなんてね・・・」
シフはアルベルトと冒険を共にした仲間だ。
多少甘いところは昔からあったが、ローバーンに捕まるほど
マヌケではなかったはずだ。
カタリナ「知り合いなの?」
シフ「ああ。数年、一緒に冒険した仲間さ。」
シャール「助けないのか?」
シフ「アイツは自分で尻拭えるから大丈夫だよ。」
ミューズ「でも、何かあったら・・・」
シフ「だいじょーぶだって。アイツ強いから。」
アセルス「んじゃ、ほっといてどっかいこう。」
シフ「・・・ちょっと、そんな言い方はないだろ?あたしと一緒に
   飯を食った仲間だぞ。そんな薄情なことが出来るか?」
アセルス「だって、心配ないんでしょ?」
シフ「心配はしてないけど、なんか薄情なのは嫌じゃない?」
アセルス「ふーん・・・助けにいきたいの?」
シフ「・・・」
アセルス「じゃ、いこうよ。別に焦ることはないんだし、助けにいっても
     良いじゃないの。」
やられた。シフはこの時になって自分が一杯食わされたことにようやく
気が付いた。
シフ「わーった!わかったよ、いく、行くよ!!」
アセルス「うん♪じゃ、レッツゴー!!」
この時以降、シフはアセルスに頭が上がらなくなったという・・・
04/05/2000