銀河の意志のSaGa


パルサー「これは・・・」
ボルフェス「クエーサー、オマエの言ったとおりじゃ・・・」
クエーサー「ああ、これは・・・」
三人の天才科学者達が眉間にしわを寄せてみているのは、ある計測と
それから生まれた数式の結果とそれによる事実である。
クエーサー「銀河の座標軸に歪みがある・・・」
パルサー「別な次元が開くのか・・・?」
クエーサー「いや・・・銀河が何かの意志に従って動いてるようにしか
      思えん・・・」
ボルフェス「しかし、この数値は・・・不自然じゃ!!」
パルサー「いや、ただ単純にこう考えられないか・・・
     宇宙は、銀河はもしかしたら、一つだったのかも知れない、と。」
ボルフェス「ばかな!!では、ステスロスについていた異次元ワープは
      どうなるのじゃ!?」
クエーサー「それについてだが・・・エレノアに行かせて以来、ワシは
      どうも俯におちんことがあるんだ。
      こうも安全に作動したのには、座標軸が関係するのでは
      ないか、と言うことと、あとは・・・」
パルサー「もともと、この世界は一つであったかも知れない・・・」
ボルフェス「エレノアの持っているレーダーは正常に反応している・・・」
クエーサー「なら、答えは一つだ。
      異次元などありはしない。元々、全ては一つの場所・・・
      リージョンと便宜上呼ぶが、そういう存在だったのかも知れんな・・・」
ボルフェス「では、彼女が時間を超えたというのは・・・?」
クエーサー「わからん。もしかしたら、ワシらとは別のやり方でこの糸を
      掴もうとしたものがることは、確かなようじゃ・・・」
パルサー「では、どうするのじゃ・・・」
クエーサー「・・・彼女の帰りを待つしかないじゃろう。
      座標はわかってもこちらからはなにもできん。
      追いかける唯一の手段、ステスロスがこれじゃからな・・・」

マスター「おーい!!こっちを頼む!!」
ここはある酒場・・・
そこで働くのは、陽気なマスターにその息子、そして一人のアルバイトの女性。
この女性がとてつもなく美人で、ファンが多いためこの酒場は非常ににぎわっていた。
そもそも、この町にはよく人が集まるので、人の流す噂も早い。
酔った男「シェーラちゃーん!!お酒ちょーだいなー!!」
シェーラ「はーい!!」
この女性の名前はシェーラと言った。
とても明るくて人なつっこい、みんなに好かれる娘だった。
その指にはきらりと光る宝石の指輪。
ダイヤモンドだ。
シェーラ「・・・ふう。疲れちゃうわ、今日はこんなに客が多いと・・・」
一息つく間もない。
次の注文がシェーラに飛ぶ。
マスターの息子も手伝うが、彼が行くと男達には露骨にイヤな顔をされる。
まあ、それも愛嬌なので、そのことを悪く思う人はいなかった。
ここはみんなの酒場であり、シェーラはアイドルだったが彼女は誰のもの
でもなかったし、また暗黙のルールというものも存在していた。
みんな、良い友人達なのだ。
そして、夜が明ける頃にようやく酒場は静けさを迎える。
マスター「やっと休めるな・・・シェーラも休むことだな。
     オマエはここ数日働きすぎてるからな。」
シェーラ「いえ、でも・・・私は・・・」
息子「いいってこと。親父の言うとおりにしなよ。俺がやっとくからさ。」
シェーラ「そう?じゃあ、お言葉に甘えようかしら・・・」
気のいいマスターに、優しい息子。
いつからだろう、自分がここで働くようになり、この親子と生活しているのは。
ずっと昔の記憶がない・・・
そういえば、ここに来るまえは何をしていたんだろう?
寝床にはいるといろいろなことが思い起こされる。
指にはまったダイヤの指輪は絶対にはずれない。
だからといってきついわけでもない。
何か、別な力が掛かってるみたいなのだ・・・
シェーラ「私、本当は・・・」
何かを思い出そうとするが、その先は光のヴェールで覆われている。
彼女は闇が良かった。
闇の方が、光より落ち着くから。
どうしてなのかはわからないが・・・
シェーラ「なんか眠くなって来ちゃった・・・」
彼女の意識は光の波に飲まれる。
決して、指のダイヤが輝いている限り、彼女の中に闇というものは
存在しない、してはいけないのだ・・・
ここにも、銀河の意志に導かれしものが覚醒しようとしている・・・
09/21/1999