ひずみのSaGa


世界は確実にひずみはじめていた。

アセルス「おかしいと思う。絶対、おかしい」
さっきからアセルスが不満なのは、どうしてオーロラの幕を抜けると
そこには凍り付いた城があるかと言うこと。
絶対、何か間違ってる。
アセルス「どうしてこんな城があるの?そもそも、ここ何処?」
当に「トンネルを抜けるとそこは雪国だった」状態である。
オーロラを抜けると、そこは別世界だった。
いや、そうではなかった・・・
シフ「これ、あたいは知ってる・・・ここ、バルハラントだと思う・・・」
ミューズ「寒いですね・・・」
微妙に話はかみ合っていないが、ともかくここは非常に寒い上、
あまりぼけっとしてる暇もなさそうだ。
近くにモンスターの気配がする。
シャール「最近、ろくな事がない・・・」
そう思ってるのは、彼だけだった。

話を要約すると、こういうことになる。
シフは仲間と別れた後、一人で冒険をすることになったが、その際に
モンスター討伐に出かけたら、敵のモンスターと取っ組み合って
崖から転落、気が付くと向こう側。
で、何故か知らないけどオーロラの道を通ると元の世界に戻った、と。
アセルス「世の中って、結構狭いね・・・」
よく考えると、自分もいきさつはシフに似ているものがある。
別世界に飛んだ。それは、共通。
しかし、別世界に飛ぶとは言っても、どうしてここまで人間として
同じく生存しているのか・・・
全く違う生命体ではなく、同じ人間。
自分は人間ではないが・・・同じ事だ。
何か、何かがおかしい。
もしかしたら、この世界は・・・
そう、アセルスは疑問を持ち始めた。
しかし、回路の何処かがつながっていない。
まだ何か、足りないのだ。
それとは同じ疑問を既に解決しようとしているものが同じ次元の別世界
にいるとは、アセルスにとって知る由もなかったが・・・
ともあれ、じっと暖炉に手を当ててるとこんな事も考えてしまう。
アセルスは妖魔なので寒さくらい大したことは無かったが・・・
シャールとカタリナはこの寒さに参っていた。
以外にも、ミューズは平気な顔をしているが。案外この人は実は
強いのかも知れない。
シフ「飯だよ。ほらほら、ちょっとは動かないとよけい寒いよ」
カタリナ「あなたは寒いところで生まれたから、、、」
シャール「まま、まったくだ・・・寒くてたまらん・・・」
暖炉から離れようとしない2人を強制的にミューズとシフは引き剥がして
温かいスープを勧めた。
すぐに飲みかかったカタリナは下を火傷しそうになったが・・・
アセルス「でも、これからどうするの?シフにこっちの世界を案内してもらう?」
ミューズ「それがいいですわ」
つい先日まで病弱で寝ていたミューズとは思えない行動力である。
それに比べて、情けないのは・・・
シャール「俺は暖かいところに行きたい」
こいつである。
アセルス「だから、暖かいところを目指してよ」
カタリナ「早くこの寒さから脱却したい、、、」
ミューズ「でも、私はここが気に入りましたよ。」
ミューズの天然的発言は聞かないことにして、話は進む。
シフ「じゃあ、ちょっと前に旅した連中を訪ねてみるか?」
カタリナ「まさか、今度は砂漠とか言うんじゃないでしょうね・・・」
カタリナには悪い予感があったのだ。
酷寒の次は、灼熱になるかどうか・・・
シフ「まさか。そこまで行かないよ。せいぜいステップと言ったところか。」
ステップ・・・ちょうどいい気候かも知れない。
カタリナとシャールはすぐに行く決意を固めた。
カタ&シャール『行く!!』
しかし一行が発ったのは、それから三日後であった・・・
理由は、寒波のせいであった。
結局やみそうにないため、2人には超暑い防寒コートを着せて出発したのだった。
09/19/1999