喫茶のSaGa


ともあれ、エレンとレッドの2人組は、シュライクで一番人気の
喫茶店「ラ・ターシュ」でお茶していた。
この名前はワインからとったものらしいが・・・2人にとっては
そんなことはどうでもよかった。
自分たちが飲みたいのは、ワインじゃなくて、コーヒーなのだ。
エレン「このコーヒー、おいしいねー」
レッドはこういうときの女の心情というものをはっきりと理解していた。
つまり、もう一杯お代わりする、と言ってるのだ。
レッド「そろそろ・・・」
エレン「すみませーん、コーヒーお代わりくださーーーい!!」
レッド「きいちゃいねぇや・・・」
レッドは自分の分を頼む余裕もなかったので・・・
エレン「どうしたのよ、今のは君の分頼んだのよ?」
その金は誰が払うと思ってるんだ、とレッドは痛烈に思ったが・・・
口に出すとまた何か言われそうなので、やめた。
レッド「ところで・・・あんた、何モンなんだ?」
エレン「ん?私?通りすがりの通行人だったはずのひとよ。」
レッド「そうじゃなくて・・・あんた、俺達と・・・」
エレン「ふーん、あなたもわかるんだー、そういうの。」
レッド「はぁ?」
逆にレッドは肩すかしを食らった。
さっきからずっとこの女は自分たちとは何処かが違うと思っていたが、
また、それを言ったら多少は静かになると思ったが・・・
これは予想外だった。
エレン「運命的なのかもねー、あたし達って。」
レッド「はぁ??」
エレン「よく見たら、結構ハンサムな男だし。これで強かったら私、
    惚れるかもよ?」
レッドは赤面した。
レッド「いやややや、お、俺には・・・」
エレン「何赤くなってんのよ、やーねー。」
レッド「くそっ、この女・・・」
エレン「なんか言った?」
レッド「イヤ、何も・・・」
こりゃ迂闊なことは言えないな、とレッドが反省したとき・・・
ウェイトレスの人「きゃぁぁぁぁぁぁぁぁ!!!」
店のウェイトレスの人らしい女の人の声が、店中にこだました。
戦闘員「キキッーーー!!」
黒い服に包まれて、人間とは思えない奇声を発して店の中に上がり込んできた
のは、当に漫画に出てくるような「戦闘員」スタイルの者達だった。
レッド「ばっかみてぇ・・・」
エレン「気が抜けるわね・・・」
2人の気が全く萎えてしまった時、戦闘員達はその2人の方を指さして、
しきりに何か言っている。
おそらく、「いたぞ、アイツだ!」とか言った内容のものだろう・・・
レッド「やるか。」
エレン「やるしかないのね・・・」
戦闘員は、どうやらレッドを狙ってるらしかった。
エレン「あんた、狙われてるわよ」
レッド「ちょうど良い。今なんかをちょうどぶっ飛ばしたかった所だった
    んだよ!!」
レッドが戦闘員に躍りかかると、華麗な身のこなしであっという間に
全員倒してしまった。
かなり喧嘩慣れしているように見受けられた。
少なくとも、運動神経という点に置いては他の人を圧倒している。
レッドが最後の戦闘員を殴り倒したとき、背後から戦闘員のものとは
明らかに違う、鋭く空を切り裂く音と共に重い拳が飛んできた。
レッド「!!ちっ・・・!」
それを最低限度のダメージになるように体勢を整え、それから
耐えきったのを確認して、カウンターの一撃を繰り出す。
バチンッ、と激しくぶつかる音がして・・・
レッド「あ・・・?」
エレン「良くやったわねー、あなた。見直したわ」
突然の攻撃を仕掛けた主は、事もあろうにエレンだった。
レッド「どういうことだ・・・」
エレン「別に?ただ、あなたがどれだけ強いか試してみたいなー、なんてね。」
どうやらそれはホントらしく、レッドにはそれがかえって恐ろしく感じた。
レッド「何なんだよ・・・」
エレン「よしっ!あなたも十分強いわっ!
    ささっ、一緒に行きましょう!!」
レッド「はぁ?行くって、何処に・・・」
エレン「決まってるでしょ!!冒険の旅に、よ!」
よほど機嫌がいいのか、エレンは店を出るときに自分の懐から無造作に
お金を払っていった。
引っ張られていったレッドには、それだけが唯一の慰めだったが・・・
こんな女と、俺、つきあっていけるのだろうか・・・
と言う不安だけは、何時までも胸に残ってるのであった。
09/15/1999