大会は進んで5日目。
既に準準決勝まで駒は進み、ベスト8が決定していた。
エレン、アニー、ライザ。そしてエレノア。
あとの四人は・・・少なくとも、自分たちより一段したの実力者であろう。
そして、その8人が闘技場の中にそれぞれ入場する。
既に会場は満員を超えている。
その熱気も、他のリージョンに聞こえわたるほどであった。
そうして、一人一人の名前が高らかに上げられ、盛大に観客は答えた。
選手達も、それに笑顔やパフォーマンスをして応えるものも多くいた。
アニー以外は。
アニーの頭の中は自分の隣にいる女・・・エレノアのことしかなかった。
白っぽい術士風の服を着ている。手には木の杖。
髪は金髪、体は少女のそれではないが、大人の女性を感じさせる。
そしてその顔立ちは何処か子供臭く、いたずら心に輝いているが、
引き締まった眉に元来の美人顔は、同姓にすら魅力を感じさせる。
しかし・・・
どうもアニーの直感から、彼女はこの世界の人間では無い気がしたのだ。
そして、またライザの隣に立っているエレンという女も・・・
アニー「アンタ、一体何者なの?」
観客にばれないように小声で、だがはっきりと、単刀直入にアニーはエレノアに
問いかけた。
エレノア「何よ、それ。」
アニー「とぼけないで。アタシにはわかるんだ。アンタ、この世界の人間
じゃないね・・・?」
エレノア「あら。私はれっきとした人間だけど。」
アニー「れっきとした人間でも、明らかにあたし達とは違ってる。
その醸し出してるようなオーラは、明らかに違うものだよ」
エレノア「驚いた・・・」
本当にエレノアは驚いているようだった。
自分の正体がばれたことに対してか、それともアニーがそう言う雰囲気を
感じたことに対してかは、アニーにはわからなかったが・・・
エレノア「こっちでも『アニマ』を感じることの出来る人はいたのね・・・」
アニー「?」
エレノアの口から出てきた『アニマ』という言葉に、アニーは即座に反応できなかった。
アニーには聞いたこともない言葉だ。
エレノア「簡単に言えば、エネルギーを感じる感覚よ。
アニマというのは、物質の持っている能力やエネルギー・・・」
アニー「アニマ??それって・・・」
アニーがエレノアをもう一度問いただそうとした途端!!
エレン「アレは!?」
ライザ「ソニックバットの群!?しかも、あの方向・・・」
肉眼でも確認できるほどの大多数の黒いソニックバットがこちらへ向かってくるのが
見える。しかも、その飛んできた方向は、遺跡のある方・・・
そして、このようなソニックバットの現象が起きるとき、それは・・・
アニー「イクストル!?どうして今の時期に!?誰かが遺跡を荒らしたとか!?」
空から飛んできたひときわ大きい影は、ソニックバット達の王、イクストル。
遺跡の主であり、死の運び人・・・
そうやら、大会どころではなさそうになってきた・・・
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