闘技場のSaGa


順を追って話をすると・・・
つまりは、こういうことだ。
アニーとライザは京に向かうはずだった。
そのリージョンシップは予定を変更してなんとシンロウへ向かってしまった。
乗り換えのひとはただになると言われたので別段急ぐわけでも無かったし、
特に気にしないことにしたのだったが・・・
それが大きな間違いだった。
せっかくだからと思ってシンロウ観光してみると、なんと今は闘技場にて
武道大会の真っ最中だという。
ライザは目の色を変えた。
アニーは別にどうでもよかったことなのだが、ライザは合気道の達人。
しかも武道に関しては妙な誇りを持っており、平たく言えば血気盛ん
なのであった。そう、表面上は「鉄の女」と呼ばれていても、体に流れて
いるのは真っ赤な血なのだ。
ライザ「私が出るって言ったらでるわよ」
アニー「やめとけってば・・・」
ライザ「いえ!!きっと私が出るように定められた大会なのよ!!
    ここへ来たのは運命だと思って観念しなさい。」
ライザのそう言う目つきは危険な輝きを持っていた。
はっきり言えば、イッてしまっている。
アニーは口元をわずかに引きつらせながら渋々了承した。
当初の予定ではアニーは適当にあしらって適当なところで負ける予定
だったのだが・・・
一回戦で当たった男がこれまた強かったのだ。
手を抜くとマジに殺されそうなくらい。
やり合ってるときの目つきが既にこれまたイッてしまっている。
いやいやながらも、本気で相手をしなくちゃいけなかった。
勝つにはかったが・・・
その男はどうやら優勝間違いなしと言われていた男で、その男を負かした
ことで、大きな波紋を呼んでしまったのだ。
はっきり言って、迷惑だった。
アニーにも、メンツや世間体を気にする心はある。
多くの人たちに注目されてしまった以上、手を抜いて負けるわけには行かない。
ライザの方はライザの方でどうやら弱っちいあいてだったらしく、不完全
燃焼が目に見えた。
今日は一試合目だけだったが、これが明日もあさっても続くと考えると、
アニーはただただ頭が痛くなるばかりだった・・・

ちょうどそのころ。
闘技場にまた別の団体が訪れていた。
美人の顔に全く合っていない巨大な斧を片手に持っている少女が一人、
妙な形をした曲刀を持っている色黒の男が一人、いかにも野蛮そうな
巨大で大振りの剣を持っている色白の男が一人。
言わずと知れた、エレンとハリードとウォードである。
力自慢の三人は、たまたま知ったこの大会に出場するつもりで来たのだ。
この三人がここへ来るまでのいきさつもいろいろあったが、要約すると、
こういうことだ。
エレンはネレイドから依頼を受けたあと、さんざん迷ったあの森をすんなり
抜けてしまった。
そのあとユーステルムとランスの聖王廟にて、旅の仲間を元々面識のあった
ハリードと、その友人のウォードに決めた。
なお、エレンとハリードがユーステルムに居たとき、何やら大柄な女と
小柄な女の2人が戦ってるところを目撃したが、またエレンもはまりたかったが
・・・気が付くと戦いは終わっていた。
旅の連れとして歩くには申し分ない、と言うより十分すぎる程の実力を
持っているようだったが、何故かまたそいつらとあえる気がして、
今は話しかけるときではないと思ったのか・・・
暫く、そのあとハリードは思い当たることでもあったのか、ずっと考え事を
していた。「・・・あの女、何処かで・・・」
しかし、ハリードはそれを思い出すことは出来なかった。
考えても出てこないので・・・暫くして、考えるのをやめた。
そうして旅に出たわけだが・・・
たまたま見つけた遺跡で何やら触っていたら、ふっ、とからだが軽くなって、
気が付くとさっきまでいた場所と作りは同じだが何処かが違ってる所に
いた。おかしいと思って外に出ると・・・
そこは見たこともない地帯で、目の前に大きな闘技場がある。
しかしどうしてかそれを不気味に思わず、最初の一歩を踏み出すのは
存外簡単だった。
そうして、三人のシンロウ探索は始まったのだ・・・
09/10/1999