ここは、世界の中心にそびえ立つ塔。
いや、その塔の内部そのものが一つの世界ともなっている。
人々はその塔の中で楽園を探し求め、そして朽ち果てていった。
伝説に挑むのは、誰とも無い・・・
その塔の頂上には楽園があると言われていた。
誰がそのようなことを言い始めたのかは定かではないが・・・
人はまた同じ事を繰り返す。
誰が何のために・・・?
それは、もしかしたら神の意志かも知れない。
神が望むこと、それを人が知ることはないのだ。
ボラージュ「神の意志?」
突然ボラージュに話しかけたのは同僚であるディオールだった。
ボラージュ「ふん、そんなものは下らない」
ボラージュは素っ気なく、ディオールをあしらった。
しかしディオールはすぐには引かなかった。
ディオール「いやいや、俺は何も宗教の話をしてるんじゃない。
最近、おかしな事ばかり起こりすぎてる・・・
ステスロスの調子もおかしいじゃないか。」
ボラージュ「ステスロスの調子は故障だろう。
それよりも、ネメシスの調子はいいのか?俺にはその方が
よっぽと心配だが。」
ディオール「あ!そういや今日は・・・」
何かを思いだしたようで、ディオールは慌ただしくその場を駆けていった。
ボラージュ「やれやれ・・・」
流石のボラージュも、ディオールの破天荒さには閉口せざるを得ないのだった。
ネメシス「・・・?星が・・・?」
夜に、ふとネメシスは星を見上げて呟く。
彼女にはある程度の予知能力が備わっていて、何かの拍子に未来が見えてしまう。
こんな日は、絶好の機会だった。とは言っても、彼女自身はその能力を
忌み嫌っていたが。
ネメシス「何かを・・・星は、何を言いたいの・・・」
ただでもネメシスはここ数日、風邪で体調を崩していた。
予知したあとは、とてつもない疲労におそわれる。
こんな体調で予知などしたくなかった。
ネメシス「・・・!」
星を眺めていると、一瞬だけ、何かが見えた。
それは、とてつもなく醜悪なオーラ。何かははっきりとは言えなかったが・・・
妙に、ざらつく感覚が彼女を支配した。
ネメシス「・・・はぁ、はぁ・・・はぁ・・・」
少し、胸が苦しくなった。息が詰まりそうなエネルギー。
少しだけ、彼女はそれに抗い、何時しか眠りに落ちていた。
数日後、危機は訪れた。
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