襲撃のSaGa


アセルス「・・・ということなんだけど、まあ、信じられないでしょ?」
アセルスがカタリナに事の次第を話して数分。
彼女としてはこれ以上説明しようが無いほど丁寧に説明したつもりだったが、
それでもやはりカタリナには理解できなかったようだ。
明らかにカタリナの顔には疑問符がいくつも浮かんでいた。
カタリナ「うーーん・・・私にはちょっと離れてる話だから・・・」
アセルス「そう。私が貴方の立場でも同じ事を言うと思う。この体になるまで
     私だってこんな事になるとは思ってなかったし。」
カタリナ「・・・」
アセルス「ともかく、私は自分の紹介はした。これで良いだろう?」
まだ姿は少女のそれだったが、口調、態度、風格は同年代のそれを
遙かに超越していた。いや、普通の人間ではないほどに・・・
それを改めて認識すると、カタリナにはアセルスの言ってることが
真実であることは疑いない。しかし・・・自分の中の常識を越えていること
は、すぐに出来るモノではない。
アセルスもそれをわかっていた。
アセルス「もういいよ。私は体は人間じゃないけど心はそのまんま、人間の
     モノだから。だから貴方も私のことはそう意識しなくたっていいよ。」
カタリナ「それはそうだけど・・・」
アセルス「そうだと思うな。それより、ここで話しててもつまんないと
     思うんだ、私。どっかにいこうよ?」
今のアセルスの一言でカタリナは毒気を抜かれてしまった。
妙に威厳を兼ね備えているのに、どこかやはり若さや甘さを感じる。
そう思うとカタリナにはアセルスの言うとおり「心は人間のまま」と
言うのが納得できた。
カタリナ「・・・そうね!いま、私が居候させてもらってる家があるんだけど・・・
     そこでお茶でも出すわ。」
アセルス「ありがとう!!でも、私はお茶よりも紅茶の方が・・・」
カタリナ「紅茶もちゃんとあるわよ。どうぞ。」
アセルス「え!?そうなの?じゃあ、お邪魔させてもらいます!」
その時のアセルスの笑顔はそれこそ彼女の年齢相応のものだった。
しかし・・・

ミューズ「はぁ、はぁ、はぁ・・・」
海岸から引き上げてミューズの住んでいる家に向かおうとした二人の前に
そのミューズが何かに怯えるようにして走ってきた。
ミューズ「カタリナ!!今、訳の分からない連中が押し寄せてきて・・・」
そういうミューズの目は恐怖で怯えていた。
アセルス「・・・?向こうが・・・!?」
いち早く危険を察知し、アセルスはカタリナに構わず気配のする方向へと
駆けていった。
カタリナ「ちょっ・・・!!アセルス!!」
カタリナの制止も聞かず、アセルスはミューズの家の方向へと向かった。
アセルス「あそこっ!?」
6,7人の男たちがぼろい家を囲んでいる。
中にも数人居るようだ。声が聞こえる。
「どこにやりやがった!”?」
「ミューズ様をおまえらのような者にやるわけにはいかん!」
「うるせえ!!てめぇはだまってろ!!」
「ぐっ!」
アセルスがその家に歩み寄ると、囲んでいる男の一人が彼女に近づいた。
男「ねえちゃん。いったい何のようだい?俺たちと遊びたいのか?   
  がはははは!!!」
アセルス「今、何をやってるんだ?」
男「そんなことはあんたには関係ねぇだろ。それよりもかわいい顔してんなぁ。
  俺たちとどんな子として遊びたいんだ?ん?げへへへへ!」
アセルス「・・・」
男たちはドイツも臭い男たちで、話し方も非卑ていてアセルスには気に入らなかった。
アセルス「頭の悪い連中はどいてたら?」
その言葉は男たちの精神を逆撫でした。
急に一人の男が逆上して、彼女に襲いかかろうとした。
男「ガキがなめたこと言ってんじゃねぇ!!」
男がアセルスを掴みかかろうとしたとき、急にその男は叫び声を上げた。
男「・・・ぎゃあぁぁぁ!!!!」
一瞬、周りの男たちは何があったのか理解できていなかったが・・・
アセルス「死ななかっただけ感謝してほしいと思うよ。」
男の腕が肩から無くなっていた。
それも、鋭利な切り口じゃない。無理矢理はぎ取られたような、気味の悪い
まさに「もぎ取られた」感じだった。
男「化け物だ・・・」
そういう男を無視して、アセルスは家の中へと入っていった。
08/17/1999